- 著者
-
中井 克樹
- 出版者
- 日本陸水學會
- 雑誌
- 陸水學雜誌 (ISSN:00215104)
- 巻号頁・発行日
- vol.70, no.3, pp.277-280, 2009-12-20
- 被引用文献数
-
2
2
外来生物による生態系等への影響が顕在化するなか、2005年に「外来生物法」(特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律)が施行され、わが国においても外来生物に対する国レベルの方向性が示された。湖沼や河川など陸水学が主たるフィールドとする陸水域は、陸上域における島嶼とともに、外来生物による生態系への影響・被害を受けやすいことが経験的に知られており、外来生物法の規制対象となる「特定外来生物」にも、陸水域を生息・生育環境とする動植物が多く含まれている。この意味で、2008年10月に北海道大学で開催された日本陸水学会第73回大会において、外来生物問題をテーマとした公開シンポジウムが開催されたことは、非常に意義深いことである。このシンポジウムに先立ち、2006年度の日本生態学会大会第54回大会(2007年3月・愛媛大学)で自由集会「淡水産外来無脊椎動物の侵入実態と防除に向けた課題」が開催された。そこでの発表の多くは、陸水学会誌68巻3号に掲載され、陸水域における外来生物問題に関して、具体的な事例の紹介とともに、今後の課題に関しても言及されている。ここでは、こうした言及をふまえながら、陸水域における外来生物問題の課題について指摘したい。