- 著者
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Leok Chen Sau
井上 勇
正村 京子
武田 繁幸
DARMAN H.
- 出版者
- 鶏病研究会
- 雑誌
- 鶏病研究会報 (ISSN:0285709X)
- 巻号頁・発行日
- vol.36, no.4, pp.181-187, 2001-02-25
- 参考文献数
- 11
- 被引用文献数
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1
1995年9月から1998年9月の間,インドネシアの3地区で地鶏に寄生している眼虫の疫学調査と分離虫体の同定および病理学的観察を行った。その結果,眼虫の検出率はジャワ島ボゴール地区20%,スマトラ島バンダルランポン地区93.3%およびカリマンタン島バンジャルバル地区6.7%であった。分離虫体は口唇がなく,口腔はひょうたん形で頭部側方に1対,正中面に2対の乳頭が,また尾部にも肛門前に4対,肛門後方に2対の乳頭がみられた。雄虫の体長は12.64±2.80mm,交接刺は左右の長さおよび形が著しく異なっていた。雌虫の体長は13.55±2.44mmで,子宮内には無数の含子虫卵が充満していた。以上の形態学的特徴から,今回インドネシアの地鶏の眼から検出した線虫をマンソン眼虫Oxyspirura mansoniと同定した。病理組織学的には虫体寄生鶏の眼結膜に細胞浸潤,リンパ濾胞形成,粘膜上皮の剥離脱落,細胞の空胞化,肥厚および結膜のポリープ状が観察され,慢性結膜炎および濾胞性結膜炎の病変がみられた。