著者
岡本 明 鈴木 敦士
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品科学工学会誌 : Nippon shokuhin kagaku kogaku kaishi = Journal of the Japanese Society for Food Science and Technology (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.48, no.12, pp.891-898, 2001-12-15
被引用文献数
1 7

凍結豚肉を高圧解凍した際に生じるドリップ量,外観,テクスチャーおよび筋原線維蛋白質の変化を研究した.<BR>(1) 豚肉の外観およびテクスチャーヘの影響<BR>解凍時に高圧力を荷すことによって,豚肉のドリップ量を減少させる,すなわち保水性を向上することができる.また,豚肉を軟化させることも可能であった.しかし,200MPa以上の高圧処理では処理圧力間で軟化効果にあまり違いが見られないこと,それに加えて外観の変化(特に肉色)などから,200MPaの高圧解凍が適当だと考えられる.さらに,高圧解凍は長時間加熱を伴う加工品よりも,生ハムやローストビーフ,タタキなどの比較的加熱時間の短い生に近いまたは半加熱食肉製品に適していると考えられる.<BR>(2) 微細構造および筋原線維蛋白質への影響<BR>高圧解凍によって筋原線維は圧力の増加に伴って大きな構造破壊を受けた.筋原線維は通常の高圧処理のように圧力の増加に依存して小片化が進むのではなく,ある粒径(大きさ,長さ)に筋原線維長の分布が収斂していくことが分かった.また,筋原線維蛋白質のSDS-PAGEにおいても,コントロールには見られない新たなバンドが出現した.これらの変化は,200MPa以上の高圧処理で生じた.

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