著者
秋元 洋輔 小林 正美
出版者
日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 = Papers on city planning (ISSN:1348284X)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.175-180, 2011-10-25
参考文献数
13

大阪港の色彩景観は、陸上の港湾施設や大規模構造物、海上を往来する船舶やコンテナなど、その大部分が塗装の色によって構成される。工業塗料の色彩は無数であり、港で使用できる色彩の許容範囲も広く、そこに非日常的な都市空間像が追い求められると、周辺景観から逸脱した色彩群が出現し、混沌とした景観を生み出すことにつながる。水運の歴史と共に育まれてきた港の景観には、その場所に残り続けてきた色彩が存在するはずである。本研究では、場所の拠り所となる色彩を求めて、まず港湾景観の歴史を辿り、かつてそこにあった地域の色彩を収集した。また行政や民間会社にヒアリングを行い、現在の景観を構成する要素の塗色を調べ、船舶業界と倉庫業界で引き継がれてきた色彩決定の仕方や考えを聞き取り、これまで大阪市で検討されてきた、公共上屋の色彩計画の策定資料を収集して分析した。さらに、大阪市港湾局で行われた、天保山客船ターミナルの外装塗り直し工事の塗色選定に関わり、港湾施設の色彩改修を実践した。

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