著者
菊池 賢
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.101, no.11, pp.3129-3133, 2012-11-10
参考文献数
22

百日咳は主に乳幼児に重篤な咳嗽発作(whoop)をきたす百日咳菌(<i>Bordetella pertussis</i>)による呼吸器感染症として,古くから知られている.ワクチン普及後,急速に患者は減少したが,ワクチンで予防できる疾患としては唯一,1990年代以降,先進国を中心に増加に転じた.中でも際立つのが思春期以降の成人百日咳の増加である.百日咳の感染サイクルの中心は今や小児から成人へ移ったと考えられる.典型的な小児の痙咳期であれば百日咳を疑うことは難しくないが,成人百日咳は慢性咳嗽以外の症状に乏しく,その実態はほとんどわかっていない.新たに思春期への使用が開始され,成人への接種も検討され始めたTdapは期待されるが,ワクチンの効果は概ね10年で消失すると考えられており,現在の成人主体の感染サイクルをどう断ち切るか,再投与のタイミングを含めた成人への接種プロトコールの整備が急務になっている.百日咳制御のためには,成人百日咳の診断基準の確立,国際的な動向調査の実施と成人向けワクチン戦略の早急な設定が必要である.<br>

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