著者
村上 一真
出版者
社団法人 環境科学会
雑誌
環境科学会誌 = Environmental science (ISSN:09150048)
巻号頁・発行日
vol.26, no.5, pp.401-412, 2013-09-30
参考文献数
16

社会からの影響および社会への影響を考慮した個人の節電意図・行動・効果プロセスを,市民アンケート結果を用いた共分散構造分析により明らかにするとともに,多母集団同時分析により地域(東京都,大阪府)と時期(2011 年夏季,2011 年冬季)別の状況の違いが,個人の節電意図・行動・効果プロセスに与える影響の差異を明らかにした。結果,節電目標の理解が節電意図や節電行動を喚起させ節電効果に寄与すること,停電への不安・恐怖が節電意図を高めること,節電目標の理解要因のほうが停電への不安・恐怖要因よりも節電意図を高めることを明らかにした。加えて,地域・時期別の違いとして,東京では節電意図に寄与する節電目標の理解要因と停電への不安・恐怖要因の大きさに有意な差はないこと,2011 年夏季の「節電意図→節電行動」は,東京が大阪よりも有意に大きく,2011 年冬季にはその有意差はなくなったこと,その東京の夏季の「節電意図→節電行動」と冬季のそれとは有意差があることを明らかにした。これらから,東日本大震災に起因する外部要因に影響を受ける節電意図・行動・効果プロセスの確立は確認されたが,時間経過により各要素の水準が低下することで節電効果が低下することを指摘し,中長期における節電意図・行動・効果プロセスの定着・持続の必要性を議論した。

言及状況

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こんな論文どうですか? 節電目標の理解度と停電への不安・恐怖が節電行動・節電率に与える影響の分析(村上 一真),2013 https://t.co/jGI9Ij3led

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