- 著者
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山野 愛子
- 出版者
- 山野美容芸術短期大学
- 雑誌
- 山野研究紀要 (ISSN:09196323)
- 巻号頁・発行日
- vol.1, no.1, pp.45-51, 1993-03-25
飛鳥時代および奈良時代に作られた万葉集には紅色が多く歌われ,この紅色が日本古代を象徴する色彩といえる。これは,当時の仏像が極色彩であったことにも共通し,中国特に唐文明の影響と考えられる。平安時代に入ると,都は唐の長安を模して造営されたにも拘わらず,この頃から唐風の礼服が和風の「衣冠束帯」になり,「田楽」や「今様」が愛好され,仮名文字による古今和歌集が作られたように,日本独自の美意識や文化が生れ育つようになる。この美意識の変遷が,紅粧から白塗りの化粧への変化として表れた。この平安時代の色彩感覚の変遷を当時の貴族文化から考察した。