著者
井上 和仁
出版者
神奈川大学
雑誌
年報 (ISSN:13420917)
巻号頁・発行日
vol.2001, 2002-03

石油や石炭などの化石燃料は,燃焼に伴って地球温暖化の原因となる二酸化炭素や有害な大気汚染物質を排出する。一方,水素は酸素と結びつくことで,大きなエネルギーを放出するが,水以外の廃棄物は発生せず,非常にクリーンなエネルギー源として注目されている。微生物の中には,細胞内の代謝過程に伴って,水素を発生するものがいることが知られている。特に,藻類やシアノバクテリアなどの光合成微生物は,太陽エネルギーを使って,水から水素を作ることが可能であり,その能力を生物工学的に高めることで,水⟶水素⟶水という究極の循環型クリーンエネルギーサイクルを確立することが可能となる。光合成では,光化学系II生じた強い酸化力で水を分解し,O_2とH^+が生成する。一方,光化学系Iでは強い還元力が生じ,通常,この還元力は,二酸化炭素の固定に用いられる。本研究は,光化学系Iで生じる還元力の一部をH^+の還元に利用できるような系を持つ光合成微生物を自然界から選抜したり,遺伝子組み換え技術を用いて代謝工学的に作りだそうというものである。

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