著者
太矢 一彦
出版者
大阪成蹊大学
雑誌
研究紀要 (ISSN:13489208)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.131-148, 2003

これまで賃料債権に対する抵当権者の物上代位については、賃料債権を譲り受けた者、一般債権に基づいて賃料債権を差押えた者、賃料債権につき相殺を主張する者などとの優劣が問題とされてきたが、本判決は、転付命令を取得した者と物上代位権者との優劣についての最高裁判決であり、賃料債権に対する抵当権者の物上代位権の行使について重要な意義を有するものである。本判決は、優先権(物上代位)の目的となっている債権についても被転付適格を肯定し、そのうえで、転付命令が確定するまでに民事執行法159条3項に規定する差押等を物上代位権者がなされなければ、物上代位の効力を転付命令を取得した者に対し主張し得ないとしたものであるが、その結論には賛成するものの、本判決の理由については疑問である。

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