- 著者
-
伊藤 光雄
- 出版者
- 島根大学
- 雑誌
- 経済科学論集 (ISSN:03877310)
- 巻号頁・発行日
- vol.23, pp.39-61, 1997-03-31
はじめに13; アメリカの銀行業は、金融自由化の過程で1980年代を通じて大きな構造変化を遂げるとともに、銀行経営においては商用不動産融資をはじめとするハイリスク・ハイリターン部面への融資に傾倒し、1989年、1990年の「金融不況」において多大な不良債権を発生させ著しい苦境に陥った1)。しかし、1991年以降のァメリカ経済の復調とそれに続く好景気を背景に、米銀は不良資産の整理といわゆる「リストラクチャリング」を断行して復活を遂げ、以後新たな段階の本稿は、この米銀の復活過程を、米銀の収益動向ならびに資産負債構成の変化を分析することで、その内実を明らかにすることを課題としている。