著者
小谷 充
出版者
島根大学
雑誌
島根大学教育学部紀要. 教育科学・人文・社会科学・自然科学 (ISSN:18808581)
巻号頁・発行日
vol.46, pp.127-142, 2012-12-25

本研究は、映画を主とした映像表現に展開するタイポグラフィの構造分析を通して、文字の視覚的な意味伝達機能を明らかにすることを目的としている。本稿では、グラフィックデザイナー・�良多平吉(1947-)がタイトルデザインを担当した劇場用アニメーション『銀河鉄道の夜』(1985年、監督・杉井ギサブロー)を対象作品として、組版の再現実験をもとにタイポグラフィの特質とそのコンセプトを考察した。対象作品のタイトルデザインやクレジットに見られる以下の特質、①混植を前提とした和文組版、②複数の欧文書体による画面構成、③精緻で極端な詰め組調整、④従属欧文の排除、⑤拗促音の小字、⑥罫線および記号類の使用などの「視覚表現の文法」は、�良多平吉が装丁を担当したますむら・ひろし(1952-)の原案本においてすでに構築されていたことを明らかにした。さらに、原案本から映画、関連書籍へと拡張する媒体の視覚的同一性を、組版技法によって保持していたと結論づけた。
著者
松本 舞
出版者
島根大学
雑誌
島根大学教育学部紀要. 教育科学・人文・社会科学・自然科学 (ISSN:18808581)
巻号頁・発行日
vol.48, pp.55-63, 2014-12-25

前編では、まず、初期近代の英国詩人たちの表現を、錬金術の理論と照合させながら確認していった。錬金術によって取り出される第五元素の効果は、1650年代の錬金術復興運動の時期を経て変化していったこと、死からの復活を可能にするものとして錬金術が描かれていることに注目した。13; 本編では、トマス・ロッジの「錬金術の解剖」やエイブラハム・カウリーの「オード」の中で描かれる、錬金術師の表現をみていく。また、ベン・ジョンソンの戯曲『錬金術師』の中の錬金術の実験の行程や、錬金術をとりまく人々の描写を検証する。13; また、後編では、終末思想と錬金術の関係を明らかにしながら、ヘンリー・ヴォーンの詩の中の実践的錬金術の描写を清教徒の「新たなる光」('New Light')の概念に対する批判の視点から考察したいと考えている。
著者
松本 舞
出版者
島根大学
雑誌
島根大学教育学部紀要. 教育科学・人文・社会科学・自然科学 (ISSN:18808581)
巻号頁・発行日
vol.47, pp.81-88, 2013-12-25

本論では、まず、初期近代の英国詩人たちの表現を、錬金術の理論と照合させながら確認していく。錬金術には、卑金属を金に変える、実践的錬金術のほかに、不老不死の薬を得ようとする、精神的錬金術があり、両方の錬金術が文学作品の中で描かれている。錬金術師は一種の詐欺師であると、皮肉を込められて描かれることが多いが、錬金術によって取り出される第五元素の効果は、1650年代の錬金術復興運動の時期を経て、変化していく。さらに本論では、死からの復活を可能にするものとして錬金術が描かれていることに注目する。後編では、終末思想と錬金術の関係を明らかにしながら、ヘンリー・ヴォーンの詩の中の実践的錬金術の描写を清教徒の「新たなる光」('New Light') の概念に対する批判の視点から見ていく。
著者
三原 重行
出版者
島根大学
雑誌
島根大学教育学部紀要. 人文・社会科学 (ISSN:02872501)
巻号頁・発行日
vol.32, pp.55-66, 1998-12-01

「詩人の恋」はシューマンのハイネ歌曲集の中で最も完成度の高い作品であり, 彼の"歌の年"1840年を代表する最高傑作とされる16曲の歌曲集である。13; テキストは現在「歌の本」におさめられている「抒情的間奏曲」からとられた。当時この歌曲集は20曲からなる歌曲集として出版された。1994年10月に録音されたトーマス・ハンプソン(バリトン), ヴォルフガング・サヴァリッシュ(ピアノ)EMI,TOCE-9505 のCDによれば歌の本の抒情挿曲からの20の歌(「詩人の恋」のオリジナル・バージョン)としてきくことができる。すなわち現行版の第4曲と第5曲の間に「おまえの顔はとても可愛くて」作品127の2, 「おまえの頬を寄せよ」作品142の2が現行版の第12曲と第13曲の間に「ぼくの恋は」作品127の3,「ぼくの馬車はゆるやかに」作品142の4曲が挿入されている。現行版の16曲からなる「詩人の恋」の見地からは, もともとハイネの詩の主題は失われた愛の"追憶"なのであって, それにまつわる歓びも悲しみも, いわば過去という単一な時間の中での同時的, 併存的な存在である4曲の削除により, 独自の選択と配列によって時間的, 心理的な秩序を形成し, それぞれの歌にドラマ的な佳格を与えたのである。13; シューマンは文学的能力にもたけており, 詩の改変と字句の変換等を頻繁に行っている。また, もともとピアニストを目指し, 多くのピアノ曲を作曲していたのだが同時代に生きたハイネの詩との出会いは歌曲作曲家としての地位を揺るぎないものにした。シューマンの歌曲の特徴は情感の表出は内的で抑制されている。ピアノ伴奏はアラベスクな描写に終始し, メロディーラインを目立たない様に平行になぞるか, あるいはメロディーの輪郭をくまどる方が多い。ピアノ伴奏つきリードを文学的表現にまで高めようとするところがシューマンとシューベルトの作品の違いである。13; それではここで全16曲の演奏法について触れてみたい。
著者
足立 文彦 門脇 正行
出版者
島根大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2005 (Released:2005-04-01)

1日当たりの潅水量を同一にした条件で、潅水の頻度と時間を変化させた3つの潅水方法でサツマイモ品種テラスライム(丸葉黄葉)とベニアズマを栽培し、植被展開速度と物質生産を比較した。島根大学生物資源科学部3号館屋上に設置した高さ0.1mの木枠内に屋上緑化用軽量土壌をいれ栽培圃場とした。供試サツマイモ品種を5月下旬に、栽植密度2.5株/m^2で移植した。潅水は点滴潅水チューブに潅水タイマーを用いて日当たり約8mm/dayとなるよう与えた。朝1回潅水を行う区(朝1回区)、朝と昼に行う区(朝昼区)、約20分間隔に1分間潅水を行う区(常時潅水区)の3つの潅水処理を行った。植被展開速度をデジタルカメラによる画像解析法で求めるとともに、8月下旬から熱収支式各項(Rn、LE、H、G)、地温、気孔伝導度、土層毎の体積土壌水分含量を測定し、収穫期にバイオマス調査を行った。いずれのサツマイモ品種も葉面積が拡大する時期の植被展開速度は朝1回区に比較し、朝昼区、常時潅水区で大きく、常時潅水区が早期に植被を確立した。収穫期のバイオマス量も朝昼区、常時潅水区は朝1回区に比較して大きかった。朝1回区の気孔伝導度は午前中高いものの午後に急激に減少したのに対して、朝昼区、常時潅水区の気孔伝導度は午後も高く維持されていた。このことは、朝1回区の畝の表層土壌水分含量が午後に低下することに加えて、サツマイモの根長密度が表層に多く、下層には少ない根系特性を持つことから水分ストレスが生じ、物質生産が抑制されたものと示唆された。従って、日中の畝表層の土壌水分含量が高く維持されるよう、頻繁に灌水を行うことにより、日蒸発量程度に使用水量を限定した場合でもサツマイモの植被展開と熱低減が効率化できると結論された。
著者
藤岡 正春
出版者
島根大学
雑誌
島根大学教育学部紀要. 教育科学 (ISSN:0287251X)
巻号頁・発行日
vol.32, pp.29-38, 1998-12-01

柔道の創始にあたって嘉納は「唯々幾分かの改良を加えさえすれば,柔術は体育智育徳育を同時に為すことの出来る一種の便法と成ることが出来ると申せようと存じます。それで私は数年間工夫を凝らし遂に一種の講道館柔道と云ふものを拵えるた」と言い,柔術を母体にして柔道が集大成された。この柔術について「柔術には流派が幾個も有りまして,均しく柔術と云ふ名称で同じ様なことを致します(中略)又體術,和,柔道,小具足,捕手,拳法,白打,手持など,種々の名称が御座いますが,皆一種の柔術です」と言い,総括すると「無手或は短き武器を持って居る敵を攻撃し又は防御するの術」と言っている。この柔術の技術内容を見ると,堤宝山流では「刀槍・鎧組(鎧を着用して組打ちする柔術)の他に太刀・柔・小具足・鎖鎌・棒・薙刀・弓・馬・振杖」,また竹内流では「柔,捕手,小具足,拳,棒,仗,居合,薙刀,縄,短剣,浮沓」などである。その他「長巻,手裏剣,乳切木,鎖鎌,軍法,鉄扇,十手,騎射」等にまで及ぷ総合武術であり,戦場に於ける鎧組打ちという実戦の中で培われた武術が集大成されたものである。これらの柔術の中で最古の柔術は,小具足の術を主とするところから堤宝山流(慈恩・14世紀後半)が最も早く成立した流派と言う説もあるが,現存する歴史的資料で確認できる最古の柔術は天文元年(1532年)に創始された竹内流である。13; 気楽流拳法,柔道秘術之伝,捕手柔術の源に「吾朝に柔術といふ事,往古はなかりし也。唯相撲を以て戦場組討の習いとし,是を武芸の一つとせし也」6),また登假集の"古より相撲を以て柔術修行の事"項に「古より武芸の終始組討なる事,雖能知,柔組討といふ名目なく,唯武士の若き者集まり,相撲を以て身をこなし,理気味を去り,躰を和らかになして,一心正しくする事のみ執行せし事なり」7)とあるように,,相撲(武家相撲又は練武相撲)が戦場組打のための基礎となる体力養成の手段として又,実戦での経験や工夫等組討術修練の方法として重要視されていたことが分かる。13; この相撲は奈良・平安時代に行われていた三度節の一つである節会相撲から発展したものである。この節会相撲の最も古い記録は神亀6年(734)7月7日の天覧相撲である。貞観10年(868)に式部省から兵部省へ所管変えになるまで,式典的要素や娯楽的要素が高く練武的要素の低いものであったが,所管変え以降練武的要素が高まると共に式典的要素や娯楽的要素は徐々に稀薄となっていった。13; この節会相撲は,古事記の鹿島神宮の祭人である建御雷神と建御名方神が出雲の国を掛けて争った政治上の戦い(関節技が主)や日本書記の野見宿禰と当麻蹴速の力競で,相手を蹴り殺した徒手による打つ・蹴る・投げる・関節を取る等の方法で行われた古代の格闘技である争力(チカラクラベ)や桷力(スマイ)が発展したものである。13; 相撲は日本人の農耕生活と深い関わりをもつ。即ち,水稲の栽培は勤勉と忍耐・工夫に加え天候の影響を受けるため,時を定め相撲・弓射・踊りなどにより豊作を祈った。これが神事相撲へと発展する。そして食・住の安定に伴う流通経済の発展は,階級の分化とともに貴族社会の成立,同時に神事相撲は節会相撲の形式(三度会=正月の射礼,五月の騎射,七月の相撲)を取り,定例化され,高倉天皇承安4年(1174)平安朝の終りによって記録が絶つまで続いた。13; この様に柔道・柔術・組討(武家相撲・練武相撲)・節会相撲・神事相撲・徒手の格闘技と際限無く遡る。この様な柔術の発展過程に於ける起倒流系柔術の一流派である直信流柔道について,第一報において,起倒流及び直信流柔道の成立や直信(心)流柔術・柔道の名称,技法(変化)等について報告した。13; そこで本研究では,柔術という名称について,十三代師範,松下善之丞の直信流柔道業術寄品巻(柔説・柔演・柔第・警・歌),直信流柔遣業術書(本意・精粗・運轉・移響)にみられる思想について報告する。13;
著者
蘆田 耕一
出版者
島根大学
雑誌
山陰研究 (ISSN:1883468X)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.184-167, 2009-12-31

『類題八雲集』をあらゆる観点から論じたものである。(1)諸本間において、「鶴山社中蔵板書目」の書名に違いがあり、または見返しの記載に有り無しが存在する。(2)編者や成立にはさしたる問題はないが、歌数が一三二〇首、歌人が三四四名は、ある地方だけの歌人の歌を収めたものとしては他に知られるものはなく、大部な歌集である。歌の取材源は明確ではないが、各地で催行された歌会や鶴山社中、亀山社中という歌壇結社での歌会から採用された可能性がある。(3)本集は「鶴山社中蔵板」とあり、地方版、私家版である。この「蔵板」で他に何点か上板している。(4)印刷部数や上板までの日数や費用については、一般的な事例を挙げたが、必ずしも明確ではない。本集は知られる限り三種類あるが、増刷されたのであろう。(5)地方版、私家版であるので、三都や名古屋等の拠点となる本屋が売り捌き所となっている。かなりの需要のあったことが分かる。(6)名所を詠んだ歌が多く見られ、有名なものから珍しい名所まであり、これも歌会で詠まれた可能性がある。13;
著者
淡野 将太 磯部 美良
出版者
島根大学
雑誌
島根大学教育学部紀要. 教育科学・人文・社会科学・自然科学 (ISSN:18808581)
巻号頁・発行日
vol.48, pp.39-42, 2014-12-25

This study examined the effect of a psychoeducational intervention on displaced aggression with a university student sample. We predicted that separating the activation of the aggressive network evoked by provocation from a trigger would decrease displaced aggression. We conducted diary study consisted of psychoeducation about empirical studies and the theoretical model regarding triggered displaced aggression, and the efficiency of separating the activation of the aggressive network and the trigger, and asked participants to engage in distraction when they experienced a provoking event. As expected, aggression decreased through psychoeducational intervention and this decrease was maintained at the same level one week later.
著者
秋吉 英雄 井上 明日香 濱名 昭弘
出版者
島根大学
雑誌
島根大学生物資源科学部研究報告 (ISSN:13433644)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.7-16, 2001-12-20
被引用文献数
1 or 0

Background/Aims: Teleost livers are classified into two groups by histochemical properties in hepatocytes. One group contains the abundant glycogen, and the other contains the lipids in hepatocytes. The hepatic metabolism is in intimate connection of hepatic blood circulation and biliary pathway. We have studied on the correlation between behavior and histological components in livers by histochemical technique. Methods: Fifty species marine teleosts were collected from the local coasts of Shimane Peninsula and Oki Island. Livers were fixed by perfusion with paraformaldehyde, and observed by light microscopy in Osmium staining for lipid and PAS staining for glycogen. Sinusoids and vascular beds in blood capillaries were identified by immunohistochemistry for α-smooth muscle actin. Results: The lipid-rich livers had 13 fishes, the glycogen-rich livers had 33 fishes and both glycogen and lipid livers had 4 fishes. Hepatopancreas had 26 fishes. The glycogen-rich livers were well developed both the sinusoidal blood system and the bile ductal system. In contrast, the lipid-rich livers were poor developed of the sinusoidal capillaries. Conclusions: The present study indicates that there were differences in the pattern of hepatic histochemical components with different moving habits. A group of streamlined and well move fish has glycogen-rich liver, and a stocky body and poor move fish that live in the bottom of the sea, has lipid-rich liver.13;13;肝臓は生体を維持する上で中心的な役割を担う臓器で,身体へのエネルギ−供給と様々な消化吸収物質の処理を行う等,多様な代謝機能を有している.また,身体を構成するタンパク質の合成,糖原および脂質の貯蔵等の有機物質代謝,鉄・カルシウム等の無機物質代謝,ビタミンおよびホルモン代謝,胆汁産生,解毒排出など,その働きは多岐に渡っている.13; 一般に動物の運動能力は生体におけるエネルギ−産生系で作られたエネルギ−量に左右されており,常に遊泳している魚種は,海底にじっとしている魚種に比べ,消費エネルギ−量は大きい.このエネルギ−供給源となる糖・脂質の貯蔵様式はそれぞれの魚種の食性に直接影響をうけている可能性が高く(1−3),エネルギ−産生系に関連した肝細胞内における貯蔵物質の生化学的組成の質・量的な変異が各魚種間で存在することが推察される.一方,この貯蔵物質の質・量的変異は,成長過程(4)および繁殖(5,6),越冬(7)など魚の生活サイクルの中でも変動することが知られているが,その変動の幅と肝臓機能との相関関係は未だよく解っていない.13; 脊椎動物の肝臓は,一般に糖代謝すなわちグリコ−ゲンを主体としたエネルギ−代謝系を構築しているが,魚類から哺乳類に至る動物の中には,積極的に糖質から脂質転換を行って,トリグリセリド(TG)の形で肝臓に貯蔵し,このTG がβ−酸化を経てTCA サイクルに取り込まれて,エネルギ−代謝系を構築しているグループが存在する(8,9).このTG を主体とした貯蔵様式をとっている脂肪性肝臓は,病態時(10−12)におけるいわゆる脂肪肝(Fatty change)または脂肪変性(Fatty regeneration)とは明らかに異なっており,その成立要因はほとんど解明されていない.13; 脂肪性肝臓を有する代表的な動物種は軟骨魚類,硬骨魚類の一部であり,両棲類幼生であるオタマジャクシをはじめ,ヒト胎児期のある一定時期においても脂肪性の肝臓を有している(13).特に魚類の肝臓は,組織学的に主としてTG が貯蔵された脂肪性肝臓とグリコ−ゲンの貯蔵を主体としたグリコ−ゲン肝を有する群に2分され,それぞれの代謝系は肝内微小循環系(14)および胆管系(15−18)と密接に連動して機能している.13; 今回,海水産硬骨魚類50種の肝臓を用いて,魚類の行動と肝臓の組織生化学的特性の相関関係を解明することを目的に,光学顕微鏡によって形態学的に観察した.焦点は,肝臓内の生化学的特性とコレステロ−ルおよび脂質代謝に関与した胆道系と微小血液循環系の形態学的特徴に注目し,魚の生態および行動に関連した若干の考察を加えたので報告する13;
著者
国井 秀伸 瀬戸 浩二 野中 資博 森 也寸志 相崎 守弘 石賀 裕明 野村 律夫
出版者
島根大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2007 (Released:2007-04-01)

高度汚水処理法・直接浄化法の開発と,底質処理法(無害化・資源化)の開発を行い,流域統合管理の視点を加えて,流域の管理の違いが水文循環過程に与える影響を評価した.さらに,科学的・普遍的な立場もふまえて,汽水域生態系モニタリングのシステムを研究・開発・構築し,さらに地域と一体となった汽水域の生態系保全活動を行うことを目的に,地域住民との連携による汽水域長期モニタリング法を検討した
著者
武田 信明
出版者
島根大学
雑誌
島大国文 (ISSN:02892286)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.108-118, 1993-03-01
著者
中川 政樹
出版者
島根大学
雑誌
島根大学社会福祉論集 (ISSN:18819419)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.57-69, 2008-03

イタリア理想主義の代表的思想家として広くその名を知られているベネデット・クローチェ(Benedetto Croce, 1866-1952)とジョヴァンニ・ジェンティーレ(Giovanni Gentile, 1975-1943)は、相互協力によって新しい観念論哲学の体系を構築して当時の思想的諸潮流に論戦を挑み、イタリア思想史上他に例をみない影響力を獲得したのであった。しかし、両者がそれぞれの思想体系を確立していく過程で、さまざまな理論的相違が顕現することになった。そして、相対立する二つの理想主義理論が展開されることになったのである。しかし、両者の友愛と知的協力関係は、理論的対立の深化にもかかわらず、ファシズム台頭期まで続いた。そこには何があったのか。本稿は両者の連帯が辿った1910 年代の複雑な過程の詳細を明らかにし、その理論的意味を考察する。
著者
太田 洋介 石野 陽子
出版者
島根大学
雑誌
島根大学教育学部紀要. 教育科学・人文・社会科学・自然科学 (ISSN:18808581)
巻号頁・発行日
vol.44, pp.89-103, 2010-12-24

近年、以前にも増して選択的夫婦別姓制度の導入への動きが高まっている。本研究では、苗字に関する態度と個人としてのアイデンティティ、家族の一員としてのアイデンティティ、家族一般に対する伝統的な価値観との関連を見ることにより、夫婦同姓が制度上規定されている現在における大学生時点での苗字の心理的な役割を検討した。研究Ⅰでは新しく苗字態度尺度の作成を試みた結果、「同姓他者への親近感」、「上位世代でのつながり感」、「愛情期待」、「苗字によるつながり認知」、「自分の苗字への愛着」の5因子からなる尺度が作成された。研究Ⅱでは家族一般に対する伝統的な価値観を測定する伝統的家族観尺度の作成を試みた結果、「伝統的性役割」、「累代的つながり」の2因子からなる尺度が作成された。研究Ⅲでは研究Ⅰの苗字態度尺度、多次元自我同一性尺度、家族アイデンティティ尺度、研究Ⅱの伝統的家族観尺度の相関を対象者全体、男性、女性において見ることにより、苗字の役割を検討した。男性では特に家族アイデンティティの形成に苗字の役割が、また女性では特に自己の同一性を形成しにくい際に苗字の役割が見出された。また男女共通に、個人が現在所属している家族の一員として存在しているというヨコのつながりの感覚に苗字の役割が見出された。さらに家族のタテのつながりに苗字が役割を果たしていることが見出された。13;
著者
福島 晟 武田 育郎 森 也寸志
出版者
島根大学
雑誌
島根大学生物資源科学部研究報告 (ISSN:13433644)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.41-46, 2001-12-20

This study aims to propose a procedure of a flood runoff analysis by the distributed runoff model using point rainfall data which are observed by the rain gages of tipping-bucket type . The previous study proposed two runoff routing models. The first one is a modfied model from the Long- and Short-Terms Runoff Model(LST-II model). The other is developed for the Kinematic Wave Storage Model(KiWS model). The proposed models have the advantage of possibility as a practical one to analyze a runoff phenomena considering the spatially distributed precipitation measured by radar rainfall measurement system. The present study is taken into acount for the input rainfall sequence calculated at the the grid cell, in which the observed ground raifall data in the watershed are converted to mesh data on the plane constructed by triangle network. In the same manner as the runoff analysis by the distributed model using radar rainfall data, it is shown that the runoff analysis is possible by applying the proposed input rainfall sequence to the previous runoff model proposed as the distributed type of KiWS model.13;13;従来の分布型流出モデルによる洪水流出解析では、流域平均雨量を入力降雨として雨水流モデルあるいは貯留関数法の適用が行われてきたが、現在では集中豪雨のような局地的な上に短時間に急変する降雨情報を分布型流出解析法に組み込むことの検討が可能となってきた。すなわち、レーダ雨量計情報を活用した水文観測システムが日本全国すべてを覆うように整備され、流域内の降雨域の移動、成長、減衰の様子が定量的に把握できるようになったことから、いわゆる降雨の時空間的分布特性を分布型流出モデルへの入力情報として反映させうる洪水流出解析法の開発・検討が可能となる環境が整ってきたといえる。13; そして、レーダによる観測降雨情報を活用した洪水予測システムの構築が注目されている。たとえば、気象庁では、山崩れ、がけ崩れの予測精度を向上させるために、「タンクモデル」と「レーダ・アメダス解析雨量」を組み合わせ、土壌水分量から土砂災害の危険度を見積もる「土壌雨量指数」を開発し、これを大雨注意報・大雨警報の発表基準に活用している。また、レーダ雨量データを活用し、国土地理院発行の数値地図に基づく疑似河道網と修正合理式を用いた流出解析法が検討され、洪水予測支援システムの開発が進められている。13; 前報では、こうした背景を踏まえ、レーダ雨量計で観測される流域内の降雨情報を活用した中小河川流域、あるいは河川上流域での洪水予測システムを構築することを基本目標に着手した検討の一部を報告した。もっとも、レーダ雨量計によるレーダメッシュ時間雨量値は、メッシュ直下の単独の地上転倒ます時間雨量値と比較した場合、平均雨量値に対して、±50% 程度の平均的な差異を有しているのが一般的とされている。したがって、現時点では、レーダ雨量計による面積雨量評価精度に問題が残されているといえ、この点は洪水流出予測精度に関係することにもなる。13; そこで、本報告では分布型流出モデルへの入力降雨系列の算定に流域内での地点雨量データを活用した手法を導入した流出解析を行い、入力降雨系列にレーダメッシュ雨量値を用いた流出解析との比較検討を行うための基礎入力降雨系列の算定的資料を得ることを目的に若干検討したことを述べる。
著者
竹田 健二
出版者
島根大学
雑誌
福祉文化 (ISSN:13464450)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.82-75, 2004-02
著者
團 琢磨
出版者
島根大学
雑誌
島根大学論集 (教育科学)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.30-39, 1962-03-15

New Leisure或はMass Leisureとかいわれるように,レジャーをめぐっての間題が最近大きくとりあげられるようになってきた。1959年秋の英国の総選拳では、保守、労働両党は政治,経済,外交政策とともに「余暇(レジャー)」についての宣伝戦をはなばなしく展開して注目をひいた。わが国においても、今日的余暇状況についてその問題意識はようやく成熟しつつあるとみてよい。しかし,レジャーの問題をめぐって大衆娯楽が研究の対象としてとりあげられるようになったのは新しいことではない。たしかに,大衆娯楽という概念で研究されるようになったのは大正中期以後のことである。13; 大衆娯楽,レクリェーションがどのような過程をへて今日めように発展してきたか,それに関する研究の動向や論壇の思潮がどんなものであったか,そのあとすけをすることによって現代的課題を探究することも大切である。小論では,わが国においてレジャーに関する文献にはどんなものがあり,その中でレジャーをめぐって娯楽,レクリェーションの問題をどのような視角からとりあげているかを分析することにした。13; わが国における大衆娯楽,レクリエーション研究は今日にいたるまでの歴史があったことは見逃せないが,その多くは娯楽的側面に比重がかけられ,それが断続的な姿をとりながら今日に至っているといえよう。戦後,大衆娯楽,レクリエーションは学問のアバンギャルド領域として活発な研究がなされるようになってきているが,今目の状況はなお問題提起の段階にあるとみてよかろう。研究の流れとしてこれを年代的に見たばあい,大まかに三つの時期が指摘できる。すなわち,大正9年頃から昭和6年に至る民衆娯楽論の時期,満州事変勃発から第二次大戦に至る戦時協力娯楽論の時期,第二弐大戦後から今日に至る大衆娯楽,レクリェーション論の時期である。13; 第一期は,第一次大戦を契機と.して独占資本の成熟にともなう郡市化現象の肥大を背景として,映画に代表される新興民衆娯楽が大きくおこってくるが,これの肯定,否定が中心的な問題としてとりあげられ,ついで都市娯楽の繁栄と対比させて貧困な農村娯楽の問題に焦点が移った時期である。第二期は,満州事変以後時局の潮流にそって「国民精神作興」,「勤労文化の確立」の一環として,戦争協力のかけごえに統合された娯楽が論じられた時期である。第三期は,大衆娯楽,レクリェーション論の時期である。戦後間もなくこの方面の研究が活発となってきたが,これにはレクリエーション運動の高まり,マス・メデァ研究の活発化が作用したのであった。
著者
上園 昌武 江口 貴康 関 耕平
出版者
島根大学
雑誌
山陰研究 (ISSN:1883468X)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.1-18, 2012-12-31

筆者らは、2012年5月下旬から6月15日まで松江市民を対象に「島根原発についての意識調査」(質問項目65問) を行い、福島原発事故後の原発立地住民の意識構造の特徴を明らかにした。島根原発1~3号機の稼働の是非について、「稼働すべきではない」が半数以上を占め、「稼働すべき」を大きく上回った。稼働賛成者は「原発による経済効果」や「原発の安全性」への信頼が高いが、稼働反対者は、地震対策・津波対策・安全管理体制などへの不信感が強く、巨額の迷惑料を原発立地地域にばらまいたとしても、この層が原発推進や容認に安易に転ずるとは考えにくい。この点は、福島原発事故によって松江市民の原発への考え方が大きく変わったとみるべきである。この他にも、原発の賛否の立場の違いが「地元」の範囲、原発の発電コストの高さ、節電への取り組みに影響を与えていることが明らかとなった。