- 著者
-
小西 敏郎
- 出版者
- 順天堂大学
- 雑誌
- 順天堂医学 (ISSN:00226769)
- 巻号頁・発行日
- vol.47, no.4, pp.465-471, 2002-03-22
- 被引用文献数
-
1
リスク管理には,過去のインシデントのレポートを集積して検討し対策をたてること,そして医師を含めてナースや医療従事者の個人個人がリスク管理面での医療知識レベルを向上させること,また医療従事著聞のコミュニケーションをよくして情報をできるだけ共有化すること,医療の標準化を図って医療内容を効率化して無駄な検査や治療を減らすことなどが重要である.これらのいずれにもクリニカルパスは極めて有効である.さらに重要なことは,クリニカルパスから逸脱する異常を患者自身あるいは家族が早期からチェックできることもクリニカルパスの大きな利点である.これからの医療システムにおいては,患者および家族からのチェックシステムも加えることにより,医療過誤を防ぎ,発生した異常に対して早期に治療を開始することが必要である.クリニカルパスは医療費の診断群類別の定額支払い制度(DRG/PPS)への対応として注目を集めているが,リスク管理の面でも極めて有用であるので,21世紀の医療変革にクリニカルパスの導入は必須である.