- 著者
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川井 考子
- 出版者
- 和歌山信愛女子短期大学
- 雑誌
- 信愛紀要 (ISSN:03893855)
- 巻号頁・発行日
- vol.42, pp.18-28, 2002-03
市販弁当類(幕の内弁当類18個,丼ものなど単品弁当7個)の栄養素含有量を調査し,成人女子(生活活動強度3)一日の栄養所要量の1/3量と比較検討した。(1)弁当に使用されている食品数は5〜19であった。消費期限・保存条件などの注意事項は大半の弁当に表示されていたが,食品添加物や栄養価表示は低率であり,原材料名を表示している弁当はなかった。(2)平均エネルギー量は692±223Kcal,たんぱく質24.2±7.6g,脂質量は21.3±12.4gであった。(3)エネルギー比率は,たんぱく質(P)14.5±3.6%,脂質(F)29.5±17.0%,糖質56.1±9.2%であった。5種類の弁当は900〜1200Kcal,たんぱく質30〜50g含有し,これは,一日の所要量の約50%を満たす量に相当していた。全体の6割が脂肪エネルギー比が高い傾向にあった。(4)脂肪酸の構成比は概ね良好であったが,n-6/n-3の比率が高値を示す弁当が6割あった。(5)食品数は多い割に野菜量(青果類)は非常に少なく,ビタミンC,Ca,Fe,Mg,Zn,Cuおよび食物繊維は全ての弁当で不足し,目標摂取量を下回っていた。ビタミンC以外の5種のビタミンの1/3所要量をほぼ満たす弁当は2個のみであった。(6)食品素材としては,うなぎ,さばなどの魚類,豆類,のり,椎茸,にんじん・かぼちゃが用いられている弁当が比較的バランスが良かった。(7)食塩含量は平均的であったが,食塩量約5gを含有する弁当が1割みられた。料理の調味%は標準的調味より,やや高かった。(8)エネルギー量,脂質量,ナトリウム量の表示値と実測値に差がみられた。単身者にとって,手軽に入手できる「市販弁当」は貴重な存在であるが,食生活に活かすには,食品素材の知識をもち,不足する栄養素,食品を補充することにより,バランスよい栄養摂取が出来るように工夫して食事としての質を高める必要がある。