著者
松本 祥子
出版者
聖霊女子短期大学
雑誌
聖霊女子短期大学紀要 (ISSN:0286844X)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.88-96, 2000-03-31

東北・北海道で栽培しやすい国産のイチゴ品種の中からジャムに最適なイチゴ品種を探すために,供試した5品種(盛岡16号,盛岡17号,盛岡19号,宝交早生,シュアクロップ)を用いてジャムを調製してその性状と食味について比較した。健康のために,ジャムの調製方法には低い糖度でもゲル化する低メトキシルペクチンを用いる方法を用いた。本研究で明らかになったことは次のとおりである。(1)供試品種の中で,盛岡17号のイチゴの果実がアメリカ合衆国で育種されたジャム用品種のシュアクロップに最も類似しており,糖度は低いが酸味が強く,果実全体があざやかな赤色で,特にビタミンC含量が多いのが特徴であった。(2)各供試品種から調製したジャムの性状を比較したところ,盛岡17号のジャムが最もあざやかな赤色で,特にビタミンC含量が多かった。また盛岡17号ジャムは適当な硬さと粘りに仕上がり,市販ジャムとほぼ同じであった。(3)供試5品種から調製したイチゴジャムの嗜好を官能検査によって比較したところ,好まれた順位として食味では盛岡17号と盛岡19号のジャム,香りでは盛岡17号,色では盛岡19号が統計的に有意に好まれた。総合評価における好ましい順位では,盛岡17号のジャムが最も有意に好まれ,盛岡19号のジャムも有意に好まれた。

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