著者
長谷川 禎子
出版者
園田学園女子大学
雑誌
園田学園女子大学論文集 (ISSN:02862816)
巻号頁・発行日
pp.56-67, 1967-02-01

(1)ガス熱蔵庫, 電気温蔵庫, 自動保湿式炊飯器5種, ス炊飯器, 電気びつ, 電気オーブン 電気保温盆, ジャー以上12種の各種機器の温蔵機器としての性能を試験し評価検討した。(2)温蔵温度70±5℃, 相対湿度100%の飽和状態の均一化とその4, 5時間の持続を温蔵の最 適状態の必要且十分条件とした。(3)各機器の温蔵中の器内温度は, ほぼ最適温度を示し温蔵した食品の内部温度ともほぼ一致する。それを変動させる因子は, 水分量で, 同一機器内では, 含有水分量の多い食品は一 般に高温度を示し又湿熱温蔵は乾熱温蔵より通常5℃も高く, 被覆品によっても, 最高5℃の差が見られた。(4)温蔵中の開扉開蓋による器内温度並びに湿度の下降状態は急激で, その復元に特に湿度は 相当時間かかるので, そのじん速性が要求された。(5)温蔵方法により, 温蔵食品の水分は, 時間的に変化し, 又その分量や被覆品の使用や温蔵 機器にも影響される。一般に, ガス熱蔵庫の湿熱型がその変化が最も少く, アルミ箔被覆は 優れた効果を上げた。(6)温熱加熱調理食品は温熱温蔵が適し, 反対に乾熱加熱調理食品は乾熱温蔵が適当である。尚温熱用の水分調整操作には, まだ研究の余地が残された。(7)温蔵による外観上の変化は, 色, 香, 形, 固さ, 体積等と共に味覚を官能検査し, その満足度から温蔵方法や時間を定める目安とした。しかしその評価の統計的処理は, 検数不足の為省略した。(8)乾熱調理食品特に揚物の温蔵は, 時間的にもなかなか厄介であったので, その重要因子となる衣について検討し, 又その変化の成り立ちを調理科学的に解析した。(9)実験結果を総合的にまとめて, 各種食品の温蔵に最適な方法並びに, その時間及び, 限界時間を調理形態別に表にした。即ち, シチュー類, 蒸し物, 米白飯等温熱加熱食品はよく適応しその効果も大きいが, 一般に乾熱食品の温蔵は平均3時間以上は難しいことが実証された。

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