著者
松田 達郎
出版者
国立極地研究所
雑誌
南極資料 (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.84, 1985-03

みずほ基地(昭和基地より270km南東氷床上)の維持のために, 燃料や食糧などの物資を積んだそりを2-4台けん引した雪上車隊が, 年に2回以上往復旅行をする。往復旅行を春夏季, 秋冬季に分けて実際にかかった日数を算出し, 第11次観測隊(1970)から第23次観測隊(1982)までを比較した。冬は気温が低く, ブリザードなど悪天候が多く人間生存の限界と思われる環境になる。したがって夏季より冬季の所要日数が多くなってくる。次に, 各隊の平均往復日数を比較すると, 全体的にみて, 近年になるにしたがい早くなっている。それは道路標識の確立, ルートについて詳細な伝承がなされていることが一つの要因である。しかし, 第13次から第19次観測隊頃まではその速度はかえって遅くなっているが, その後急に早くなっている。それは雪上車の型式を新しいものにするまで, 旧型のしかも中古車を修理しつつ使用しなければならなかったことに原因がある。第21次観測隊からはレーダーも使用されるようになり, ますます早くなっている。以上, 雪上車旅行行動を分析し, 人々の伝承, 天候, 使用する道具によって往復の速度が変動していることを示した。

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こんな論文どうですか? 越冬隊の集団働態学的研究 -氷床上雪上車旅行行動について-(松田 達郎),1985 http://id.CiNii.jp/1gNL
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