著者
大野 義一朗 宮田 敬博
出版者
国立極地研究所
雑誌
南極資料 (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.1-13, 2000-03
被引用文献数
1

日本南極地域観測隊の越冬中の傷病について統計解析を行った。対象は1956年-1999年の歴代越冬隊(昭和, みずほ, あすか, ドームふじの4基地)で越冬報告をもとに集計した。のべ隊員1110名(女性2名), 出発時年齢は22-56(平均33)歳であった。傷病総数は4233件で, 1人あたり傷病数は3.8件であった。科別割合では外科整形外科疾患45.3%, 内科22.7%, 歯科12.7%, 皮膚科7.2%, 眼科5.9%, 耳鼻科3.8%などであった。死亡例はブリザードによる遭難死1例, 全身麻酔手術は行われたことはなく, 1966年腰椎麻酔で虫垂炎手術が1件行われた。感染症が極夜期に増加するなど疾患によっては特有な季節変動を認めた。第39次隊では39名中38名に何らかの傷病が発生し, 総数199件, 1人平均5.1件であった。観測部門と設営部門の間に差はなく, 年齢別では40歳代で最少, 50歳代で最多であった。傷病の31.7%は環境に起因し, 27.6%は仕事が関与していた。

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