著者
広瀬 智久 松尾 浩気
出版者
神戸大学
雑誌
兵庫農科大学・神戸大学農学部研究報告 (ISSN:0367603X)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.95-99, 1968

1. 水田裏作として栽培されたオランダイチゴ, ダナー種の完熟果実を室温中に貯蔵し, その含有成分の変化の過程を調査した。収穫当日に含まれていた80%エタノール可溶性N化合物, 糖類の含有量は次第に減少したが, 有機酸の量は殆んど変化がなかった。しかし, 収穫後の水分含有率の低下は収穫後の日数と共に著しく。従って各成分の濃度(含有率)は相対的に高くなり, その結果N化合物の含有率の低下は比較的緩慢となり, 糖類の含有率は殆んど変化なく, 有機酸は上昇した。糖の種類は, グルコース, フラクトース, キシロース及び蔗糖であるが, 収穫後次第にグルコース及び蔗糖が減少し, キシロースがやゝ増加した。有機酸は大部分がクエン酸で, リンゴ酸, コハク酸及び痕跡の酒石酸が認められたが, 減少したのはリンゴ酸のみであった。2. 排水良き砂壌土の圃場に於て, 栽培された4品種のオランダイチゴ(紅露・幸玉, アメリカ・ダナー)の果実について収穫後に於ける諸成分の含有率の変化を比較した。N化合物・糖類・有機酸についてみると, その含有率自体は品種の特性を示し, 夫々非常に異なっているが, 含有率の貯蔵中の変化は互に平行的に推移し同様の傾向を示した。この実験の果実成分のペーパークロマトグラフィーの結果は, 水田裏作のダナー種に比べて, 糖類の内, フラクトースが特に多く, 蔗糖が少かった。品種間差異は特にグルコースに認められた。有機酸では, 酒石酸がかなり多く, 紅露及び幸玉ではα-ケトグルタル酸を認めた。品種間の差異は, 大部分をクエン酸に, 次いで酒石酸によって影響された。

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