- 著者
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金沢 治子
岩崎 礼子
- 出版者
- 横浜女子短期大学
- 雑誌
- 研究紀要 (ISSN:0389830X)
- 巻号頁・発行日
- vol.6, pp.37-61, 1989-09-30
女子大生600名を対象に健康と食生活との関連性について,アンケート調査を行った。1)本対象の体格は身長・体重の平均値は157.6cm,51.1Kgであった。体格に対する自己評価については「太っている」と思っている者が64%と高率を示し過大に認識している者が多く細身志向といえる。2)健康観については,95%の者が「丈夫乃至普通」と回答しながらも冷え症や貧血の傾向にある。また健康の保持増進に対しては健康増進策をとっている者は48.5%であった。その手段としては眠を十分にとる58.4%,スポーツをする26.1%,食事に注意する24.4%を挙げている。3)不定愁訴で発症率の高い項目の順位は(1)体全体がだるく,つかれやすい(2)めまい,立ちくらみがよく起こる(3)便秘しやすい(4)すぐ汗をかきやすい(5)朝,気分よく起きれない(6)仕事をする気力がないであり,いずれも50%を越えている。不定愁訴皆無の者は600名中9名(1.5%)であり1人当り不定愁訴最多保有数は12種で2名(0.3%)であった。98%の者は不定愁訴保有者であり1人当り平均不定愁訴保有数は6種であった。4)本対象の食品類の摂取の仕方は「よく食べる」者では卵類,肉類が約半数(52%,49%)を占め,大豆製品,魚類は,20%,16%である。野菜類では,生野菜が65%と半数を上廻り,果物は50%であった。「よく食べない又はあまり食べない」者では,大豆製品,魚類,肉類及び卵類(22%,16%,7%,6%)の順位となっており,又果物9%,緑黄色野菜5%,生野菜3%であった。不定愁訴数と食品の摂取の関係は,肉類を「よく食べる」者は不定愁訴数の多い者の順に(A,B,C)増加したが,大豆を「よく食べる」者は,逆にA,B,C順に減少した。又魚類,卵類,緑黄色野菜,生野菜,果物,及びつけものは「食べない,又はあまり食べない」者が,A,B,C順に次第に増加した。不定愁訴数の少ない者は,多い者に比べ肉類の摂取が少なく,他の食品類は多く摂取していた。不定愁訴数の多い者ほど,食事内容が肉類にかたよる傾向にあった。食品の組合せは,「よく食べる」食品では肉類,魚類,卵類,及び豆類のうち1種類のみが約30%を占め,2種,3種の組合せは次第に減少し,4種類組合せる者は5%であった。又「食べない,又はあまり食べない」では,1種類だけが20%,2種,3種と次第に減少し,4種は1%であった。野菜類,果物類の組合せは,1種類だけは20%,2種,3種の組合せは30%をこえており,野菜類,果物類の摂取が多くなっていた。不定愁訴数と食品の組合せの関連では,不定愁訴数の少ない者と多い者と比べると,少ない者の方が多くの食品を組合せてBlanceよく食品類を摂取していた。5)牛乳の摂取の仕方は「毎日飲む」者は32%おり,「飲まない」者は29%であった。牛乳の摂取と不定愁訴数の間では,特に頻度差はみられなかった。6)食事の量を主食,副食共に「人並だと思う」者は,72%,68%と約2/3を占め,「人より多いと思う」者は主食で18%,副食では26%,「人より少ないと思う」者は11%,6%であった。食事の量と不定愁訴数の関係は,主食,副食共に「多いと思う」者の比率が,不定愁訴数の多い者ほど高い値となっていた。「少ないと思う」者では,副食については特別な関係はみられなかった。7)欠食率は朝食12%,昼食1%,夕食2%であり,61年度の国民栄養調査値より,3食共に低くなっていた。不定愁訴数の多い者ほど欠食率が高く,朝食では27%であった。この値は同年代の調査値の2倍となっていた。欠食の理由では38%の者が「時間がない」と回答をしていた。5%の者は「太りすぎを防ぐ」であった。8)外食率は,朝食2%,昼食15%,夕食11%であり,同年代の調査値よりすべてにおいて下廻っていた。特に昼食では約1/3低い値となっていた。不定愁訴数との関係は,3食共に不定愁訴数の多いものほど高い値となっており,特に多いCグループでは昼食を除き,同年代の値の2倍近い値となっており,不定愁訴数の少ない者は3食共に1/3の値であった。又食事にかける時間については,不定愁訴数の多い者ほど食事時間が早くなっていた。9)「夜食をする」者は過半数(59%)を占めていた。「夜食をしない」者に不定愁訴数の少ない者が多くみられた。夜の9時〜翌朝5時までの時間帯の喫食率は,PH9時代,AM0時代,2時代において,不定愁訴数の多い者ほど高い値であった。10)ファーストフーズの使用頻度は「毎日使用する」が約1%,「週又は月数回」が83%であったのに対し,同年代の調査結果では「毎日する」が15%,「使用しない」は皆無であり,本対象の方が低い値となっていた。又,不定愁訴数の多い者ほどファーストフーズ使用頻度が高く(A34%,B40%,C53%)「あまり使用しない」者は,同じ順に低く(A25%,B13%,C9%)なっていた。11)食品の組合せに対する食意識は「考える」者は10%,「意識しない」者は44%であった。不定愁訴数の少ない者ほど食品の組合せを考えており,多い者ほど意識する率が低くなっていた。