著者
七田 哲実
出版者
横浜女子短期大学
雑誌
横浜女子短期大学研究紀要 (ISSN:0389830X)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.59-69, 1994-03-25

神奈川県保母会で行った0歳から5歳(クラス年齢)の保育所児1,150名を対象にした幼児の睡眠と生活調査(平成3年10月実施)のうち, 休日の分の報告である。以下50パーセンタイルの数値のみで要約する。休日の前の夜は9時58分に寝る。これは平日とくらべると32分就床が遅くなっている。休日の朝は8時5分に起きる。平日とくらべると約1時間遅くなっている。0歳だけは他の年齢よりは早寝・早起きであるが, 1歳以上では年齢による違いがほとんどなかった。休日の前夜の睡眠時間は10時間13分で, 平日より13分長くなっていた。年齢差はないが, 個人差は大きく, 睡眠時間の最も短い子は7時間30分, 最も長い子は13時間30分であった。休日の日中の昼寝については, 0歳では「いつもする」は91.5%いるが, 年齢とともに少なくなり, 5歳では1.5%だけになっている。昼寝する子の時間も年齢とともに短くなっている。平日と同じように, 夜の睡眠時間の補いを低年齢児は日中の昼寝でしているようである。家では昼寝をしない子が年齢とともに増えていることは, 保育所の昼寝についても検討する必要を考えさせる。起床及び就床は親の職業と関係があり, 母親が公務員, 教員・保母, 看護婦の子どもは早起きが多いが, 自営業, パート, 専業主婦, サービス業などの子どもは遅起きが多かった。また, 起床時刻は平日と休日とで0.66の相関があった。早寝・早起きの心身の状態への影響も見たが, 今回のデータからは遅寝・遅起きとの差が見出せなかった。この報告について, 平成3.4年度保育内容研究会(神奈川県保母会)の委員の皆さんに敬意と感謝を表します。
著者
秋山 幸 金沢 治子
出版者
横浜女子短期大学
雑誌
研究紀要 (ISSN:0389830X)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.11-25, 1985-04-30

養護施設の献立16日分,精神薄弱児施設の献立18日分,保育所年少児95,年長児98,献立を対象に,食品群別給与量から栄養量を算出し,また給食の調理形態を調査して次のような結果を得た。1)養護施設(平均年令10才)と精神薄弱児施設(平均年令15才)の食品群別給与量を,愛育研究所案の食構成と比較した結果,両施設の穀類給与量は,基準量に比べて少なく,魚介類は,大体基準量を満している。肉類は共に基準量を越えているが,卵類は基準量より少なく乳類は不足している。また野菜の給与量は,両施設共基準量を満しているが,果実類は少ない。保育所年少児の穀類給与量は平均44gで基準より少なく,魚肉,卵類,野菜の給与量は,年少,年長とも基準量を満し,大体よい充足状態を示したが,保育所の魚介肉類,野菜果実の給与量は施設により大きな差が見られる。2)牛乳の給与量は,養護施設149g,精神薄弱児施設133gで,乳製品の給与量も養護施設がやゝ高い。保育所の年少児は,牛乳142g,年長児は45gで,乳製品の給与量は,それぞれ,42gと29gである。そのうち脱脂粉乳は,年少児平均7.9g,年長児7.2gであるが,保育所では,乳量の給与量も施設による巾が大きく,また,乳類は,大部分が間食として与えられている。3)養護施設,精神薄弱児施設の栄養給与量は,各栄養素とも大体所要量を満たしてよい充足状態を示した。保育所では,年少児と年長児の給与量に差が見られ,年少児は,鉄以外の給与量が基準を上廻り,年長児は,カルシウム,鉄,ビタミンB1 B2とも不足している。給与量は,施設によって異り,エネルギーやたん白質は基準量の80%以下の施設が約1/5,20%以上多いものが約1/5見られて,保育所給食における今後の栄養指導が望まれる。4)総給与量に対する乳類の栄養量は,エネルギー,たん白質,脂質とも乳量の多い養護施設は,精神薄弱児施設より多く,保育所の年少児は,年長児より多い。栄養基準量に対する乳類の栄養量は,乳類の栄養量が少い時も,乳以外の食物がこれを補って,栄養量をみたすことがあり,年少児は,年長児より乳以外の食物の栄養の比率が少い。5)養護施設,精神薄弱児施設の主食の形態は,米飯約74%,パン17%,めん約10%で,両施設とも昼食には,パン,めんの複合形態が多い。主菜の魚肉,卵,大豆製品の調理法は,焼物,煮物,揚物,汁物の順に多く,野菜は,生物,和え物として魚肉のつけ合せや汁物に多く使われている。施設の夕食は,朝昼に比べて食品数が多く,家庭的な献立が工夫されていいた。保育所給食における主食の調理形態は,米飯45.1%(単一形態46%,複合形態54%),パン26.1%(単一形態82.8%,複合形態17.2%),めん28.8%(単一形態21.9%,複合形態78.1%)であった。主食として供された主な料理は,スパゲティナポリタン,親子丼,肉うどんであった。副食の調理形態比率は,主菜では汁物40.2%,煮物23.9%,揚物11.7%,焼物7.6%,炒め物4.5%,ゆで物3.4%,和え物2.8%。副菜では,つけ合せ(生野菜,野菜塩もみ,つけの,果物)41.5%,和え物(野菜サラダ類,ごま和え,酢の物)35.5%,ゆで物7.3%,揚物,炒め物共に5.1%,煮物4.1%,汁物1.4%であった。主菜及び副菜の料理数はそれぞれ264,217であった。主材料別頻度比率は,主菜では,肉類34.5%,大豆製品29.3%,水産ねり製品卵類共に11.7%,魚介類7.2%,肉類加工品5.7%。副菜では淡色野菜38.2%,果実21.5%,菓子その他12.2%,緑黄色野菜11.3%,いも類10.3%,穀類4.0%であった。
著者
金沢 治子 岩崎 礼子
出版者
横浜女子短期大学
雑誌
研究紀要 (ISSN:0389830X)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.37-61, 1989-09-30

女子大生600名を対象に健康と食生活との関連性について,アンケート調査を行った。1)本対象の体格は身長・体重の平均値は157.6cm,51.1Kgであった。体格に対する自己評価については「太っている」と思っている者が64%と高率を示し過大に認識している者が多く細身志向といえる。2)健康観については,95%の者が「丈夫乃至普通」と回答しながらも冷え症や貧血の傾向にある。また健康の保持増進に対しては健康増進策をとっている者は48.5%であった。その手段としては眠を十分にとる58.4%,スポーツをする26.1%,食事に注意する24.4%を挙げている。3)不定愁訴で発症率の高い項目の順位は(1)体全体がだるく,つかれやすい(2)めまい,立ちくらみがよく起こる(3)便秘しやすい(4)すぐ汗をかきやすい(5)朝,気分よく起きれない(6)仕事をする気力がないであり,いずれも50%を越えている。不定愁訴皆無の者は600名中9名(1.5%)であり1人当り不定愁訴最多保有数は12種で2名(0.3%)であった。98%の者は不定愁訴保有者であり1人当り平均不定愁訴保有数は6種であった。4)本対象の食品類の摂取の仕方は「よく食べる」者では卵類,肉類が約半数(52%,49%)を占め,大豆製品,魚類は,20%,16%である。野菜類では,生野菜が65%と半数を上廻り,果物は50%であった。「よく食べない又はあまり食べない」者では,大豆製品,魚類,肉類及び卵類(22%,16%,7%,6%)の順位となっており,又果物9%,緑黄色野菜5%,生野菜3%であった。不定愁訴数と食品の摂取の関係は,肉類を「よく食べる」者は不定愁訴数の多い者の順に(A,B,C)増加したが,大豆を「よく食べる」者は,逆にA,B,C順に減少した。又魚類,卵類,緑黄色野菜,生野菜,果物,及びつけものは「食べない,又はあまり食べない」者が,A,B,C順に次第に増加した。不定愁訴数の少ない者は,多い者に比べ肉類の摂取が少なく,他の食品類は多く摂取していた。不定愁訴数の多い者ほど,食事内容が肉類にかたよる傾向にあった。食品の組合せは,「よく食べる」食品では肉類,魚類,卵類,及び豆類のうち1種類のみが約30%を占め,2種,3種の組合せは次第に減少し,4種類組合せる者は5%であった。又「食べない,又はあまり食べない」では,1種類だけが20%,2種,3種と次第に減少し,4種は1%であった。野菜類,果物類の組合せは,1種類だけは20%,2種,3種の組合せは30%をこえており,野菜類,果物類の摂取が多くなっていた。不定愁訴数と食品の組合せの関連では,不定愁訴数の少ない者と多い者と比べると,少ない者の方が多くの食品を組合せてBlanceよく食品類を摂取していた。5)牛乳の摂取の仕方は「毎日飲む」者は32%おり,「飲まない」者は29%であった。牛乳の摂取と不定愁訴数の間では,特に頻度差はみられなかった。6)食事の量を主食,副食共に「人並だと思う」者は,72%,68%と約2/3を占め,「人より多いと思う」者は主食で18%,副食では26%,「人より少ないと思う」者は11%,6%であった。食事の量と不定愁訴数の関係は,主食,副食共に「多いと思う」者の比率が,不定愁訴数の多い者ほど高い値となっていた。「少ないと思う」者では,副食については特別な関係はみられなかった。7)欠食率は朝食12%,昼食1%,夕食2%であり,61年度の国民栄養調査値より,3食共に低くなっていた。不定愁訴数の多い者ほど欠食率が高く,朝食では27%であった。この値は同年代の調査値の2倍となっていた。欠食の理由では38%の者が「時間がない」と回答をしていた。5%の者は「太りすぎを防ぐ」であった。8)外食率は,朝食2%,昼食15%,夕食11%であり,同年代の調査値よりすべてにおいて下廻っていた。特に昼食では約1/3低い値となっていた。不定愁訴数との関係は,3食共に不定愁訴数の多いものほど高い値となっており,特に多いCグループでは昼食を除き,同年代の値の2倍近い値となっており,不定愁訴数の少ない者は3食共に1/3の値であった。又食事にかける時間については,不定愁訴数の多い者ほど食事時間が早くなっていた。9)「夜食をする」者は過半数(59%)を占めていた。「夜食をしない」者に不定愁訴数の少ない者が多くみられた。夜の9時〜翌朝5時までの時間帯の喫食率は,PH9時代,AM0時代,2時代において,不定愁訴数の多い者ほど高い値であった。10)ファーストフーズの使用頻度は「毎日使用する」が約1%,「週又は月数回」が83%であったのに対し,同年代の調査結果では「毎日する」が15%,「使用しない」は皆無であり,本対象の方が低い値となっていた。又,不定愁訴数の多い者ほどファーストフーズ使用頻度が高く(A34%,B40%,C53%)「あまり使用しない」者は,同じ順に低く(A25%,B13%,C9%)なっていた。11)食品の組合せに対する食意識は「考える」者は10%,「意識しない」者は44%であった。不定愁訴数の少ない者ほど食品の組合せを考えており,多い者ほど意識する率が低くなっていた。
著者
吉田 梓
出版者
横浜女子短期大学
雑誌
横浜女子短期大学研究紀要 (ISSN:0389830X)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.69-79, 1997-03-25