著者
森田 洋司
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.48-65,144**-143, 1985-06-30

暴走族青少年の性格特性は、極端に高い外向性と高い神経症的傾向を示している。日本の青少年は一般に、発達につれて児童期よりも内向化する傾向がみられ、その生育環境にさまざまな内向化への文化的圧力が介在しているものと推定される。暴走族青少年がわが国の児童期の特性である外向的傾向を異常に高く示すということは、彼らの発達過程にこうした文化的圧力が欠如していたか、あるいは外向性強化要因が作用していたものと思われる。また、こうした彼らの高い外向性は彼らの逸脱行動に人格的な未成熟性をもたらす要因ともなっている。<BR>また、暴走族青少年では学業不振が著しいが、それは現代の学習過程が彼らの極端に高い外向的特性に不適合なるがゆえに生じているものと思われる。したがって、彼らの学業不振は知識の配分過程への不適応と見なすことができるが、それは同時に知識配分過程に潜在的に含まれている「かくれたカリキュラム」としての内向性志向文化への不適応でもある。

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