- 著者
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梶原 洋子
樽本 つぐみ
- 出版者
- 文教大学
- 雑誌
- 文教大学教育学部紀要 (ISSN:03882144)
- 巻号頁・発行日
- no.32, pp.23-31, 1998-12
更年期をよりよい状態で生存するための方策として、日常の運動習慣が如何なる影響を及ぼしているのかを検討するために、ランニングを取り上げ、更年期に当たる女子ランナーの不定愁訴や気分の特徴などを、同年齢の一般女性と比較し、以下の結果を得た。 更年期にあるランナーは年齢に有意差のない健常な一般女性に比べて、更年期障害およびその中等度以上の有症状の発症頻度は有意に低値で、POMSからみた気分の状態もランナーの方が良好とされる典型的な氷山型のプロフィールを示し、メンタルヘルスも良好なことが窺われた。また、更年期の女性ランナーは低年齢の実業団選手に比べて「憂鬱」の尺度が有意に低値で、POMSのプロフィールもエリートランナーと同様に、良好なプロフィールとされる氷山型を示した。すなわち、現在のライフスタイルの中にランニングという身体活動を習慣化し、じょうずに構築している女性ランナーは心身ともに健康的で、ランニングがquality of life (QOL)の向上に好影響を及ぼしていることが明らかになった。