- 著者
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平野 尊識
- 出版者
- 学術雑誌目次速報データベース由来
- 雑誌
- 言語研究 (ISSN:00243914)
- 巻号頁・発行日
- vol.121, pp.19-48, 2002
「肩叩き」や「人助け」のような複合名詞について考える.このタイプの複合名詞の形成には,第一姉妹の原理が深く関わっていると言われてきた.しかし,「神隠し」や「虫食い」などの事例はこの原理では説明できない.本論では,このタイプの複合名詞の形成は,それが現れる文/談話との関連で考察する必要があることが議論される.複合化される要素は,文/談話的情報から復元できないからである.逆に,「文/談話」の「主語/題目」と同一指示のものは複合化する必要がない.これを基にして「基本構造」という概念を提案する.基本:構造:Topic[(N)(N)NV]V (Ni)(Ni) (N:複合化される名詞,i:同一指示)これに「同一名詞の反復を避ける原則」が適用され,名付け機能に応じて語彙化されるというのが本論の枠組みである.