- 著者
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友永 輝比古
- 出版者
- 三重大学
- 雑誌
- 人文論叢 : 三重大学人文学部文化学科研究紀要 (ISSN:02897253)
- 巻号頁・発行日
- vol.19, pp.103-111, 2002-03-25
マーロウからすると約300年前の,ブレヒトからすると約600年前の出来事,エドワード2世が即位してから獄死するまでの出来事を,これらの作家は舞台化した。ブレヒトの『イングランドのエドワード2世の生涯』は,マーロウの『エドワード2世』の翻案である。2つの作品の間には,約330年の隔たりがあり,劇形式,言葉の使い方,台詞回し,人物像等の点で大きな違いがある。逆に,その違いから時代の違いが感じられる。マーロウはイギリスのルネッサンス期を生き,ブレヒトはドイツの激動期を生きた。したがって,それぞれの作家の,それぞれ別の時代における世界観,人間観を作品から読み取ることが出来る。ここでは,2つの作品を比較し,主な登場人物の人物像の違いを述べることにする。