- 著者
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佐藤 洋子
- 出版者
- 早稲田大学
- 雑誌
- 早稲田大学日本語研究教育センター紀要 (ISSN:0915440X)
- 巻号頁・発行日
- no.7, pp.25-76, 1995-04-01
本稿は, 雑誌『明星』『方寸』とヨーロッパ文芸雑誌5誌から, そこに展開される日欧文化の相互影響の問題を考察するものである.『明星』は, 近代詩歌の発展に, 浪漫主義の高揚をもって貢献したのみならず, 西欧の文芸思潮の吸収に, 溌刺とした対応を示した.『方寸』は, 近代創作版画により, 文学との切磋琢磨するジャンルの開拓を目ざしていた.この文学と美術の総合モデルは, 「例を泰西諸国の高尚なる雑誌に取り」と表明されているが, それらはどのような編集方針と内容を持っていたか.独英の文芸雑誌5誌は, 時代の要求とジャポニスムを反映していた.これらの比較から, 世紀転換期の日欧文化交流の様相と相互影響の問題を解明しようとする.