著者
佐藤 洋子
出版者
日本労働社会学会
雑誌
労働社会学研究 (ISSN:13457357)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.23-42, 2020 (Released:2021-02-10)
参考文献数
15

Through a case study of Company X, a retailer, this paper clarifies reasons why women do not want to become managers in companies promoting women’s active workplace participation. In recent years, Company X has set the target for increasing the proportion of women in managerial positions to 20% and is working to do so. Specifically, Company X is targeting single women in their thirties, and these women are promoted to managerial positions before giving birth and after raising children. In this case study, however, few single women chief at Company X are interested in becoming a manager. In “promotion of women’s participation” Company X expects to increase the number of “women in management who marry and raise children.” This contradicts the working style of the single woman chief, however. For one thing, Company X’s managers are transferred every one or two years, and they work long hours, day and night. At the same time, Company X is reducing the location-specific employee system chosen by many married women. These circumstances not only make it more difficult for a single woman chief to marry, but also for women who are raising children to continue working as regular employees-never mind taking demanding managerial positions. Company X’s “active participation of women” aligns with Japan’s policy of promoting women’s active workplace participation, that is, emphasizing “bearing and raising children” and “promotion of women to managerial positions.” Resolving contradictions in Company X requires fundamentally changing the government’s policy on women’s workplace participation. However, if companies try to overcome this problem at the corporate level, they should assume a variety of woman managers.
著者
佐藤 洋子 良村 貞子 森下 節子
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

1.小児入院施設の安全対策:(承諾が得られた小児入院3施設安全管理マニュアル、施設設備の検討)1)事故発生状況:調査前年度の病院別事故発生状況は、転落事故が23件、転倒事故3件であったが、その他の事故はなかった。2)3病院いずれも事故防止のための入院時資料を作成していたが、保護者を対象とするものが多く、小児を対象とする資料は、ビデオ・写真など、視覚的理解を促すものであった。3)3病院いずれも事故防止目的で環境整備(点滴、ベッド柵に関する安全使用表示。点滴スタンド脚の5脚化等、用具の工夫。クッションフロア・プレイルーム等環境の工夫)を実施していた。4)事故防止のために、B病院は7歳以上の患者を対象とする転倒・転落予測ツールを使用していた。2.入院患児の保護者の意識(質問紙回収率88.3%):1)保護者が入院中起こりやすいと考えている事故は、1位転落、2位転倒、3位打撲・外傷であった。2)事故防止実施上の責任を保護者と回答した者は、91.5%であった。保護者が看護師に期待する事故防止策は「環境整備を徹底してほしい」60.4%、「子供の行動を注意して観察してほしい」10.4%であった。以上のように、小児入院環境下では事故(転倒・転落、誤飲や窒息・打撲や外傷・火傷等)防止をするためのさまざま対策がとられていた。しかし、小児入院施設としての統一的な安全基準はなく、施設の工夫に任されていることが明らかになった。また、保護者は事故防止の責任を保護者にあると認識していた。保護者が、看護師に求める事故防止対策は、入院環境の整備が多いことが示された。このようなところから、看護師は、小児の病状を観察し、安全な環境を整備することが必要であり、安全基準の策定、保護者ならびに小児に対する教育等、具体的な事故防止の支援を進めることが今後の課題と考える。
著者
佐藤 洋子
出版者
国立保健医療科学院
雑誌
保健医療科学 (ISSN:13476459)
巻号頁・発行日
vol.66, no.5, pp.502-511, 2017 (Released:2017-11-28)
参考文献数
102

目的:障害者総合支援法の理念となる障害者基本計画では障害者の意思表示やコミュニケーションを支援し情報アクセシビリティを向上することが示されている.コミュニケーションに障害をもつ人が,その人の残存能力に応じて意思を伝える方法をAAC(Augmentative and Alternative Communication;拡大代替コミュニケーション)といい,情報アクセシビリティが整備された環境づくりを進めるために障害種別ごとのAAC手法の体系的な分類が求められている.本稿では学術論文を中心に障害種別ごとに求められる支援手法に関する文献レビューを報告する.方法:学術論文の検索は国内医学文献データベース医中誌ウェブ等を用い,AAC関連検索語による検索式を用いて検索した.得られた文献からタイトル・要約・本文内容に基づき適切な文献を選択し,対象障害ごとのAACを抽出した.対象障害は視覚障害,聴覚障害,盲ろう,発達障害(自閉症を含む),知的障害,高次脳機能障害(失語症),ALSなど総合支援法の対象となっている難病,その他とした.結果:最終的に98件の文献が得られた.視覚障害( 7 件,7.1%)では視覚機能の補強,聴覚情報および触覚情報への変換という観点から,聴覚障害( 7 件,7.1%)では聴覚機能の補強,視覚情報および触覚情報への変換という観点からAACを分類した.発達障害(10件,10.2%),知的障害( 7 件,7.1%),高次脳機能障害(11件,11.2%)についてはそれぞれにおける意思疎通の困難さの特徴に応じ,視覚情報や聴覚情報への変換,およびそれらの併用という観点で分類した.重度身体障害を引き起こす難病(46件,46.9%)におけるAACでは運動機能の補強という観点,および症状の進行に応じた分類を行った.考察:障害種別ごとに必要とされるAAC分類を行ったところ,障害種別を超えたAACの応用の可能性が明らかとなった.本来,AACは障害の名称によって分類されるものではなく,意思疎通が困難な原因やその程度に合わせて提供されることが望ましく,情報アクセシビリティの向上や環境づくりを目指すうえでは,今後はこのような観点からAACアプローチに関する研究が進むことが期待される.
著者
佐藤 洋子
出版者
早稲田大学日本語教育研究センター
雑誌
早稲田大学日本語教育研究センター紀要 (ISSN:0915440X)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.157-184, 2007-07-15

佐藤洋子教授退職記念号
著者
佐藤 洋子
出版者
早稲田大学
雑誌
早稲田大学日本語研究教育センター紀要 (ISSN:0915440X)
巻号頁・発行日
no.7, pp.25-76, 1995-04-01

本稿は, 雑誌『明星』『方寸』とヨーロッパ文芸雑誌5誌から, そこに展開される日欧文化の相互影響の問題を考察するものである.『明星』は, 近代詩歌の発展に, 浪漫主義の高揚をもって貢献したのみならず, 西欧の文芸思潮の吸収に, 溌刺とした対応を示した.『方寸』は, 近代創作版画により, 文学との切磋琢磨するジャンルの開拓を目ざしていた.この文学と美術の総合モデルは, 「例を泰西諸国の高尚なる雑誌に取り」と表明されているが, それらはどのような編集方針と内容を持っていたか.独英の文芸雑誌5誌は, 時代の要求とジャポニスムを反映していた.これらの比較から, 世紀転換期の日欧文化交流の様相と相互影響の問題を解明しようとする.
著者
塩澤 光一 城所 寛子 佐藤 洋子 神山 かおる 柳沢 慧二
出版者
Japanese Society for Mastication Science and Health Promotion
雑誌
日本咀嚼学会雑誌 (ISSN:09178090)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.58-66, 2003-11-30 (Released:2010-07-21)
参考文献数
21
被引用文献数
5

米飯咀嚼時の嚥下誘発にかかわる食塊物性を調べるために, 嚥下直前の口腔内から回収した食塊の物性をtexture profile analysisに従って計測した. 濃度の異なる米デンプン糊を混ぜた3種の米飯試料 (R+10%RP, R+20%RP, R+30%RP) を10名の成人被験者に咀嚼させた. 最も付着性の高いR+30%RP咀嚼時の嚥下までの咀嚼回数は, R+10%RPおよびR+20%RP咀嚼時の嚥下回数に比べて有意に大きな値を示した. 嚥下直前の食塊の硬さは, R+30%RP食塊がR+10%RP食塊やR+20%RP食塊に比べて有意に大きな値を示したが, 食塊の付着性と凝集性には有意な差は認められなかった. 付着性を低下させた米飯咀嚼時の嚥下直前の食塊中に存在する飯粒の大きさの平均値は, 通常の場合の嚥下直前の米飯食塊中の飯粒の大きさに比べて有意に大きな値を示した.本研究で得られたこれらの結果から, 米飯食塊の付着性の程度が米飯咀嚼時の嚥下閾値にかかわっている可能性が示されるとともに, 食塊中の飯粒の大きさは米飯咀嚼時の嚥下誘発には直接的にはかかわっていない可能性が示された.
著者
藤井 和佐 西村 雄郎 〓 理恵子 田中 里美 杉本 久未子 室井 研二 片岡 佳美 家中 茂 澁谷 美紀 佐藤 洋子 片岡 佳美 宮本 結佳 奥井 亜紗子 平井 順 黒宮 亜希子 大竹 晴佳 二階堂 裕子 中山 ちなみ 魁生 由美子 横田 尚俊 佐藤 洋子 難波 孝志 柏尾 珠紀 田村 雅夫 北村 光二 北川 博史 中谷 文美 高野 宏 小林 孝行 高野 宏 白石 絢也 周藤 辰也 塚本 遼平 町 聡志 佐々木 さつみ
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

研究課題に関する聞きとり調査、質問紙調査等から、地方社会における構造的格差を埋める可能性につながる主な条件として(1)地域住民の多様化の推進及び受容(2)生業基盤の維持(3)定住につながる「地域に対する誇り」が明らかとなった。過疎化・高齢化が、直線的に地域社会の衰退を招くわけではない。農林漁業といった生業基盤とムラ社会の開放性が住民に幸福感をもたらし、多様な生活者を地域社会に埋め込んでいくのである。