- 著者
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嶋根 歌子
藤原 和歌子
- 出版者
- 和洋女子大学
- 雑誌
- 和洋女子大学紀要. 家政系編 (ISSN:09160035)
- 巻号頁・発行日
- vol.40, pp.217-227, 2000-03
- 被引用文献数
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寝室の温湿度条件は寝具をとうして寝床内気候に影響し,睡眠の質的レベルに大きく関わる。特に近年の暑熱環境下では快適な条件は得られず,冷房機による調節でより安眠環境を得る家屋が増えてきている。一方環境問題や省エネルギー志向あるいは冷えによる体調不良が問題となり健康志向が高まるなかで,冷房に頼らない,寝室環境や寝具の工夫及び改善が求められている。本研究は,昔の人の知恵を借り,敷寝具の工夫で暑熱を和らげられるかという観点から,寝床内気候,衣内気候の計測と共に,睡眠中の寝姿勢や体動から睡眠の質を捉えようと試みた。主たる結果は,次ぎの様である。1.目覚め感と体動回数との関係は,"ゴザ"の方が眠れたと回答した被験者の体動回数が,通常使用している"ふとん"に比べ少なかった。一方,"ゴザ"の方が眠れなかったと回答した者は普段柔らかいふとんに寝ており,ゴザの表面が硬いことにより,頻繁な体動を繰り返し,身体が不安定で眠りが阻害されたと考えられる。2."ゴザ"を敷くことにより仰臥姿勢がやや減少する一方,側臥姿勢が増加する傾向にあった。一晩中にとった最も長い保持時間は,"ゴザ"の方が長く,平均54分(標準偏差14.16)であり,ふとんは平均43.8分(標準偏差14.24)であった。3."ゴザ"の衣内温度は,就寝1.3時間後に約36℃の第1のピークを示し,次いで3時間,5時間後にピークを示した。衣内湿度も衣内温度のピークと同時期に高湿となった。寝姿勢はこの直後仰臥位から背を起こしたり,側臥位に変化した。寝床内温度は,34∿35℃にあったが,"ふとん"の方が高値を示し,特に101∿200分後に36℃となった。畳間も,"ふとん"の方がやや高値で推移した。相対湿度も,温度と同様,"ふとん"の方が高くなった。