著者
後藤 政幸 荒巻 輝代 芳原 達也
出版者
和洋女子大学
雑誌
和洋女子大学紀要. 家政系編 (ISSN:09160035)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.29-37, 2002-03
被引用文献数
2

ミネラルウォーター,茶,果汁飲料等の500mlペットボトル飲料は「リキャップできる」,「携帯に便利」等の特性により,室内・外を問わず生活の種々の場面で多く飲用されている。しかしこの利便性に伴う飲用習慣が細菌増殖を引き起こし,ひいては衛生学的な問題が生じると懸念する。著者らは実験的にペットボトル飲料に実際の飲用習慣に近似した内容の細菌汚染をさせ,その飲料水中の細菌数の変化を観察して衛生学的な問題を検討した。5種の小型ペットボトル飲料(ミネラルウォーター,茶,果汁飲料,乳酸飲料,スポーツ飲料各1種)に唾液と手指で汚染させた生理食塩水を定量的に加え,15℃および36℃の温度条件下で2,5,10,20時間保存した試料について一般細菌と大腸菌群の菌数を測定した。結果,一般細菌に関しては,ミネラルウォーターと茶の場合,15℃および36℃共に2時間保存以後,時間の経過に伴い菌数は増加した。増加傾向は高温保存の方が大きかった。また,2時間保存の時点で飲料水水質基準に不適合となった。これらに対して果汁飲料,乳酸飲料およびスポーツ飲料は接種した細菌数が2時間保存以後,減少する成績が得られた。菌数の減少は時間の経過に従い大きくなる傾向を示し,特に両温度条件共に果汁飲料の2時間保存時に顕著であった。大腸菌群は,5回測定中2回の36℃保存のミネラルウォーターと茶の場合にだけ検出されたが,他の試料からは検出されなかった。特に,ミネラルウォーターの20時間,茶の10時間と20時間保存時に大腸菌群数の増加は著しかった。以上の成績から,小型ペットボトル飲料をリキャップに伴う数回の口付け飲用や野外への携帯で不潔に取り扱う等,日常の飲用形態で利用した場合,飲料水の種類によっては飲料水水質基準の細菌項目に対して不適合となる飲料水を摂取する可能性があり,衛生学的に問題となることが判明した。
著者
布施谷 節子 松本 智絵美
出版者
和洋女子大学
雑誌
和洋女子大学紀要 家政系編 (ISSN:09160035)
巻号頁・発行日
vol.46, pp.1-12, 2006-03

The breasts are vibrated obviously by jumping. It has been thought that the brassiers should control the vibration of breasts. So the authors investigated the effects of controlling the vibration by several kinds of brassiers. Two subjects whose breast sizes were different put three infrared reflex marks on their three points of each body and jumped ten times with camisole, sports bra, super light adhesive bra, brassier and strapless bra in regular sequence. The camisole was used instead of the nude. The first mark was put on the fossa jugularis point and next two marks were put on each theloin. Two video cameras and 3D action analysis soft wear were used in the experiment. Main results were as follows: The subject with smaller breasts showed the effect of controlling the vibration in the case of wearing the sports bra, brassier, strapless bra. The other subject with larger breasts didn't show the evident effect by any kinds of brassiers. The brassiers with straps have to be selected fittingly and adjusted by straps to each wearer; otherwise it is probable that the vibration of breasts will be large.
著者
羽生 京子 仲村 洋子
出版者
和洋女子大学
雑誌
和洋女子大学紀要. 家政系編 (ISSN:09160035)
巻号頁・発行日
vol.44, pp.11-26, 2004-03-31

わが国独自の和服は、着付けることによって衣服としての機能を果たす。着装後時間を経過することによって、動きに伴い着装直後と形状の変化つまり着崩れが生じる。この着崩れについて、前報に引き続いて究明したのが本研究である。前回の実験について疑問視された、いくつかの点について解決を計るために、今回も、3タイプ、つまりS・M・Lサイズの被験者について、標準寸法と割り出し法による仕立て上がり寸法を採用した試着衣を新たに作製し、着装実験を行った。試着衣の作製条件として、視覚的判断を考慮して実験に用いる浴衣地の図柄などを同一にすること、ある程度幅のある標準寸法を一律に定めること、一定の技術で縫製し均一に仕上げることなどについて配慮した。着装実験によって、前回とほぼ同様な結果を得ることが出来た。つまり、S・Mサイズについては、標準寸法を統一したことで着装スタイルの変化はあっても、着崩れ量の変動は少ないし、割り出し法においてのスタイル・着崩れ量も同程度と判断できた。Lサイズに関しては標準寸法での不足が一層明瞭になり、割り出し法によっても許容範囲ではあるが充分ではない。ただし、それによる着崩れは同程度であることを確認した。加えて、Lサイズについて、課題を解決する手掛かりとして、幅の広い浴衣地を準備し布幅の関係で、試みてない割り出しで算出した数値によって試着衣を作製し再実験を試みた。結果、着装スタイルはほぼ満足出来る形となったが、接合線位置つまり各身幅の比率について新たな課題が残される結果となった。
著者
宮川 豊美 川村 一男
出版者
和洋女子大学
雑誌
和洋女子大学紀要 家政系編 (ISSN:09160035)
巻号頁・発行日
no.29, pp.p13-19, 1989-03

「にんにく」「乾燥にんにく」「にら」「蕃辛」「乾燥蕃辛」「生姜」「青じそ」の細菌発育阻止作用を,食中毒細菌のサルモネラ菌,腸炎ビブリオ菌,病原大腸菌,カンピロバクター菌及び黄色ブドウ球菌について,発育阻止作用を吟味することから次の結果を得た。1. 「にんにく」と「にら」に細菌発育阻止作用を認めたが,その効力は,「にんにく」の方が強い。2. 細菌発育阻止作用を生じさせるには,そのままの状態で使用するのではなく,潰す,磨りおろす,細かく切る,液状にするなどの操作を行い細胞膜を破壊することが必要である。3. 発育阻止作用は,加熱処理,乾燥によって失われる。
著者
小菅 充子
出版者
和洋女子大学
雑誌
和洋女子大学紀要 家政系編 (ISSN:09160035)
巻号頁・発行日
no.38, pp.43-55, 1998-03

紅茶の浸出液を冷却した際に見られるクリームダウンが,どの様な条件により出現し易いか実験を行った。また緑茶や烏龍茶においても同様の現象が見られるのか否かについても調べてみた。紅茶においては溶出タンニン量の多い茶葉のものはクリームダウンが起こり易く,また冷却前に砂糖を添加しておくと,クリームダウンは抑制されることが確認出来た。同じ茶葉を用いても硬度の高い浸出水で浸出した時は,浸出液の色調は暗赤化し,クリームダウンも激しかったが,溶出タンニン量はむしろ少なかった。冷却方法については,流水及び冷蔵庫による緩慢冷却も良い方法と思われる。緑茶,烏龍茶においては,紅茶と比較してクリームダウンの生成はかなり低かった。しかし浸出水の硬度が高くなると,紅茶と同様かなりのクリームダウンが出現し,タンニンは溶出しにくくなる傾向が見られた。各浸出水を加熱してみると,硬度の高かった浸出水において白濁が見られ,緑茶,烏龍茶,そして紅茶においてクリームダウンという形で我々の目に写っていたものは,タンニンとカフェインの結合物が冷却されて析出したものだけではなく,この浸出水による白濁も大きな部分を占めていたと推測された。
著者
榎本 春栄
出版者
和洋女子大学
雑誌
和洋女子大学紀要 家政系編 (ISSN:09160035)
巻号頁・発行日
vol.43, pp.69-83, 2003-03
被引用文献数
1

パニエは、スカートやドレスのスカート部分を形づくるため、あるいはその形状を保持することを目的として着用する。ウエディングドレスやお色直しのドレスに関しては、フアッション誌を見ても、ブライダル店を見ても、あるいは実際に学生が製作する作品を見ても、パニエを必要とするデザインがほとんどであるといっても過言ではない。パニエは、ウエストから裾にかけて直線的に広がるピラミッド型と、全体に曲線的イメージのドーム型に大別される。今回はピラミッド型のパニエに着目し、パニエを構成する数多くの要因のうち、ギャザー量のみに絞って、オールサイズ1/2での製作実験を行うこととした。フリルのギャザー量が表現する形状の確認に加え、学生がパニエを製作する上で参考となる基本の形を示すこともこの研究のねらいのひとつである。まず、フリルのギャザー量の異なるパニエを順次製作し、ギャザー量がパニエにどのような影響をもたらすかの形状観察を行った。次に、ピラミッド型パニエにふさわしいデザインとしてフレアスカートを選び、作図角度により算出されたスカート裾周りの半径と、製作後計測したパニエの裾周り半径との関係を基に、作図角度を30度および45度と定めそれぞれ試作し、着装による確認を行った。結果として、作図角度30度のスカートに適するパニエのフリルギャザー量は、上段は付けず、中段は付け寸法の2.0倍、下段は2.5倍程度が適当であること、作図角度45度のスカートには、上段は2倍、中段は4倍、下段は6倍程度が適当であるなどの結論を得た。今回のパニエ製作実験により、フリルのギャザー量がもたらす形状の基本を求めることができ、この成果は今後の各種ドレスの製作指導に有効に活用できるものと考える。
著者
布施谷 節子
出版者
和洋女子大学
雑誌
和洋女子大学紀要 家政系編 (ISSN:09160035)
巻号頁・発行日
vol.47, pp.71-79, 2007-03

The author investigated the impression of the subjects dressed in tight skirts. One of the aims of the wearing test was to select the length of tight skirts which seemed to be the most deceptively slender or the fittest to each subject. Black and white tight skirts were used in the test. Four female students who had different physical types put on the tight skirts made in five different length alternately and they were taken five photographs in a front view. Fifty one female students selected the most suitable length among five photographs in each subject. Main results were as follows; (1)The fitting length of tight skirt was different in each subject. (2)The knee length of tight skirt gained good evaluations without regard for physical types. (3)The ankle length was suitable for a plump subject, the calf length was suitable for a chubby subject and the upper knee length for a slender subject. (4)The results of this investigation will be useful in dressing education.
著者
嶋根 歌子 江口 昭子 竹内 美智代
出版者
和洋女子大学
雑誌
和洋女子大学紀要. 家政系編 (ISSN:09160035)
巻号頁・発行日
vol.37, pp.169-178, 1997-03-31
被引用文献数
1

女子大学生22名を対象に,姿勢に対する認識調査,身体計測,及びモアレ縞等高線写真による背面形状の検討により,日常の習慣が背面形状にどのような影響をおよぼし,さらにその個人差,左右差がどこに生じているのかを明らかにした。主な結果は次の通りである。1.姿勢に対する認識調査結果 普段姿勢を気にしている者が61.5%で姿勢に対する関心が高くかつ,姿勢が悪いと自覚している。利き腕は,89.7%の者が右利きである。上肢は,右側が動きの中心でありかつ,支点であり,下肢は,体重を支えながら動作を行う機能を有することから,行動を起こす側が右脚で,支点は左脚であると解釈できた。2.人体の形態及び背面の特性 1)マルチン計測器による人体計測 本実験の被検者の平均的体型は,膝が高く位置し,背部や上腕の脂肪量が多く,全体的にふっくらしている。体重,皮下脂肪にややバラツキが,殿部後突角度に著しいバラツキがあり,厚みや背面突出度,脊柱の弯曲に個人差があることが明かとなった。2)足部及び足底面積の計測結果 22名の平均は,足長右22.84cm,左22.99cm,足幅右9.28cm,左9.30cm,足囲右22.49cm,左22.45cm,母趾角度右12.05度,左13.0度であった。全国平均と比較すると,今回の結果はすべての項目で大きい値となった。左右差を見ると,足長,足幅,母趾角度では左足が大,足囲のみ右足が大であった。立位時床と接触した足底面積は,右98.46cm^2,左99.17cm^2,左足が約0.72%大であった。体表面積に対する両足底面積の割合は,約1.3%にすぎなかった。3分割した足底部分の面積が最も大である部分は,a次いで,c,bの順で,右側が左側よりやや大きく,趾先部位や土踏まず部の個人差が考えられた。3)モアレ縞等高線写真による背面形態の計測結果 正中線における腰部角度は,殿部最大突出長と,最突出長はその部位の角度と相関が認められた。肩甲部,殿部ともに右側が上方の者(I)が最も多く11名,次いで両部ともに左側が上方の者(II)7名,肩甲骨は左が上方で,殿部は右が上方の者(III)4名であった。アンケート結果の,上肢は右側が利き腕であり動きの中心で,左腕に荷物を持ったり掛けたりすること,下肢は左足を支点とすることが,右上がりで左に傾いた背面を形成すると考えられた。正中線の胸椎,腰椎の弯曲を基準にして分類した結果,中間型であるMM型は,13名で約60%,次いで腰部が平らなMS型4名,背部が平らなSM型2名,背部弯曲の強いLM,LS型は各1名,背部腰部共に平らなSS型は1名であった。20代前半の女子では,中間群が多数を占めるものの,わずかではあるが背部での弯曲の強い者が出現していた。背面形態と関係の深い項目であると思われる,前述の肩甲骨及び殿部の突出角度及び突出長と左右の肩傾斜角度,背部皮下脂肪厚をもとに,主成分分析を行い,分類した。その第1主成分は人体の肥満度,即ち,皮下脂肪の厚さや殿部の突出を示し,第2主成分は,肩部の大きさ,即ち,肩のあがり方や肩甲骨の突出を示した。
著者
榎本 春栄
出版者
和洋女子大学
雑誌
和洋女子大学紀要 家政系編 (ISSN:09160035)
巻号頁・発行日
no.39, pp.123-133, 1999-03

今回のスタンによる着用実験により,バストサイズと脇ダーツ量及び脇ダーツ量の元となる原型の前下り量について次のような結果を得た。(1)標準サイズであるバスト寸法82cmの場合は,原型の前下り量と同寸法を脇ダーツとすることで体型に合い,この部分に関する限り補正の必要がないこと。(2)バスト寸法82cmよりも大きい場合は,脇ダーツ量が不足する傾向にあること。JISサイズ13号であるバストサイズ88cmまでは,原型の前下り量に0.3(B-82)の計算値を加えることにより不足を補うことができ,バストポイントに向かってのつれ皺,それに伴う前丈の不足をかなり解消することができること。(3)バストサイズが大きくなるにつれて増えていく計算値を,そのまま順次加えていくことは,不足するダーツ量を補う以上に脇ダーツ量が多すぎてしまう傾向を示すこと。また,それとは逆に,バストサイズ82cmよりも小さい場合は,加える計算値が減少することにより脇ダーツ量が減少し,ダーツ量の不足を生じる傾向を示すこと。これら計算値有効範囲外と考えられる部分については今後の研究課題である。今回は,標準体型のスタンによる着用実験であったが,被験者に対しての着用実験も数例行い結果が有効であるという確認も得ている。今後は被験者による実験例を増やし,個別製作上,特に大切である補正に対しての研究を更に深めるとともに,その結果を授業において効果的に活用していきたいと考えている。
著者
山田 満 山本 真弓
出版者
和洋女子大学
雑誌
和洋女子大学紀要. 家政系編 (ISSN:09160035)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.35-42, 2001-03-31

近年アレルギー疾患が増加する傾向にあり,アレルギー患者は国民の3分の1という高率になるという。そこで食物アレルゲンの一つである牛乳を対象として,牛乳の殺菌温度別アレルゲン性を測定し,アレルギー発症との関係について動物実験により比較検討を行った。抗原として低温殺菌牛乳(63℃30分),超高温殺菌牛乳(130℃2秒)および煮沸乳(100℃20分)を用い,マウス,ラットの腹腔内に注射し感作させた。アレルギー反応の確認はマウス血清IgE抗体値の測定と,ラット平滑筋のSchultz-Dale反応による抗原体反応によって確認した。その結果,低温殺菌乳に比べ超高温殺菌乳のマウス血清IgE抗体含有率の方が有意に高いことが分かった(P<0.05)。超高温殺菌乳と煮沸乳のIgE平均含有率の間には有意差は認められなかったが,高温で加熱時間の長いほどIgE値の高くなる傾向がみられた。一方,ラットによるSchultz-Dale反応でも低温殺菌乳では平滑筋の収縮は見られなかったが,超高温殺菌乳と煮沸乳では1分以内に著しい筋肉の収縮が認められた。これらのことより低温殺菌乳は,超高温殺菌乳に比較してアレルゲン性が弱く,加熱温度の高くなるほどアレルゲン量が増加し,アレルギー発症の原因になりやすいのではないかと考えられる。
著者
仲村 洋子 羽生 京子
出版者
和洋女子大学
雑誌
和洋女子大学紀要 家政系編 (ISSN:09160035)
巻号頁・発行日
vol.48, pp.9-20, 2008-03

和服着用時に生じる着崩れの要因を、長着の仕立て上がり寸法と体格・体型の関連と捉えて追求してきたのが、本研究である。Lサイズを対象として取り上げ実験を試みた結果、「割り出し法」の有効性を確認した。身体に合わせて縫製された和服は、簡単に姿よく整えられかつ着崩れも少なく抑えられるとの感触を得た。この結果をうけて、試着衣を「ゆかた」としていたことにより省略していた長襦袢を着用して、実験を進めたのが前報である。長着はゆかたをそのまま用い、長襦袢はウール地、絹地の2種類を作製し実験を試みた結果、長襦袢着用が着崩れの抑制に効果的に作用し、さらに少量化が認められた。現在での和服着装は、礼服や晴れ着といった盛装用が主流であり、長着を袷に仕立て、材質も絹素材を扱うことが一般的である。そこで、今回は袷長着を試着衣として採用することとし、表・裏地とも絹地を使用し、変動が明確になるよう格子柄を選んで作製した。あわせて、長襦袢についてもポリエステル素材によるものを加えた。絹地で袷に仕立てた長着と、3種類の素材による長襦袢との組み合わせによる着崩れについては、前回のゆかたを用いた結果と同じレベルに留まっている。つまり、長襦袢の素材の如何をとわず簡単なしかも若干の手直しで修正可能な範囲であった。特に、衿元については長着を広衿に仕立てたことにより、手直しも必要としない微量に留まった。以上、着装者の身体に合わせた和服であれば、着崩れは問題視するに値しないレベルであることが把握できたとともに、割り出し法の必要性を再確認した。
著者
小林 幸子 坂本 元子 飯淵 貞明 内田 雅人 三橋 洋子
出版者
和洋女子大学
雑誌
和洋女子大学紀要 家政系編 (ISSN:09160035)
巻号頁・発行日
no.40, pp.107-116, 2000-03

朝食摂取が知的作業に及ぼす影響をみる目的で実験をした。女子大生18名を対象に,適正食および不適正食の朝食を,同一人に交互に摂取させ,昼食前に知的作業を実施した。また知的作業と同時に,注意の持続性,集中力,精神的耐久性をみるためにクレペリンテストも実施した。朝食の給与は,女子大生の1日の平均摂取エネルギー量を1,500kcalと考え,その約30%を朝食とし,500kcalを適正食,100kcalを不適正食とした。朝食の食材は大学で調達し,秤量区分けした各食材を実験前日に被験者に渡し,実験当日の朝8時までに摂取させた。前日の夕食は午後9時までに済ませ,それ以降の飲食は禁じた。知能テストは田中式知能検査様式Bのテストから3種(置換,異同弁別,抹消の各問題)に計算問題,創造性問題を加えた5種類を平成10年10月20,21日,27,28日に実施した。置換問題は「図形記号に働く知覚速度と記憶の能力」「視覚的弁別あるいは判断の速さ,正確さと記憶の確かさ」をみる。異同弁別問題は「記憶・注意力に関係する視覚体制の確立度」「短期記憶と注意の維持の確かさ」をみる問題。抹消問題は「視覚的弁別の確かさと判断・反応の速さ」「注意の持続,弁別・判断・反応の速さ,確かさ」をみる問題。計算問題は「演算処理の正確さ,速さ」をみる。創造性問題は「拡散的思考の豊かさ,柔軟な思考」をみる。適正食群において視覚的弁別の確かさ,判断・反応の速さ,記憶・注意力・演算処理の正確さ,速さ等に有意に高得点がみられた。クレペリンテストの評価は,朝食の適,不適食の摂取が短期間では行動のバランスを乱すことや,心身の不安定に影響していないと思われる。
著者
大塚 寿子
出版者
和洋女子大学
雑誌
和洋女子大学紀要 家政系編 (ISSN:09160035)
巻号頁・発行日
no.29, pp.p227-243, 1989-03
著者
我妻 美奈子
出版者
和洋女子大学
雑誌
和洋女子大学紀要. 家政系編 (ISSN:09160035)
巻号頁・発行日
vol.40, pp.271-281, 2000-03

民族衣裳の和服は年々晴着とよそいきにしか和服を着装して歩いている人達を見かけなくなって来ている。普段着としてのウールアンサンブル等着ている人は少なく,紬なども普段着として着ている人が少ない。和服を着るのは成人式の振袖,卒業式の袴などは多くの人達が着ている。前に礼装として男性の普段着,ゆかた及び羽織・袴の青年と老年の体型を検討したので,今回は青年女性の普段着,袴,羽織・袴・コート及び老年女性の普段着,喪服(夏),喪服(冬)と袴を着装した時の体型を検討したのでここに報告する。実験方法は坂本元一氏が考案した計測器を使用した。5趾他5箇所,すなわち片足を10区分して両蹠面20箇所を,1秒間計測する。足型は足の足面を分類すると1&acd;10が左足で11&acd;20が右足である。素足で各自の足型に合わせ,開眼起立で直立5秒後より測定を開始,30秒間で終る。体型についてはデーターによって体型が分けられる。体型は足圧分布を4区画に分ける。左側前方,1区画,右側前方,2区画,左側後方,3区画,右側,4区画である。F_1 : は前方に足圧が多くかかる。F_2 : 後方に足圧が多くかかる。F_3 : 左側に足圧が多くかかる。F_4 : 右側に足圧が多くかかる。F_5 : 左前側と右後側に足圧が多くかかる。F_6 : 左後側と右前側に足圧が多くかかる。足圧分布によって体型を青年女性と老年女性の和服着装時の体型を検討したので報告する。
著者
山本 真弓 山田 満
出版者
和洋女子大学
雑誌
和洋女子大学紀要. 家政系編 (ISSN:09160035)
巻号頁・発行日
vol.37, pp.33-43, 1997-03-31

1)人工胃液のpH1ではすべての乳酸菌の失活が認められた。2)ビフィズス菌は製剤においてpH1&acd;4のどのpHでも60分後にはビフィズス菌が死滅しており,製品についてもpH2で失活することからビフィズス菌の腸への到達は難しい。3)ビフィズス菌以外の乳酸菌はpH1ではすべて失活するが,pH2では120分後まで生存する確率が高く,pH3&acd;4では120分後で全て生存がみられた。4)菌別にみると,L. acidophilus,L. bulgaricus,St. thermophilusはpH2に耐えられ,比較的耐酸性があった。
著者
平野 千鶴 藤森 直江 菊野 惠一郎
出版者
和洋女子大学
雑誌
和洋女子大学紀要. 家政系編 (ISSN:09160035)
巻号頁・発行日
vol.31, pp.17-24, 1991-03-31

食物繊維が,他の栄養素の消化を妨げるという作用に着目し,食物繊維の種類や摂取量によるタンパク質の消化吸収への影響を調べた。結果は次の通りである。1)精製したセルロースパウダーは,殆ど影響を及ぼさなかった。2)ごぼうの繊維を,多く摂取するほど消化率は低下した。3)ごぼうに含まれる種々の繊維の分析を行い,タンパク質の消化吸収に影響を及ぼしている繊維は何かを追求し,また,食物繊維を長期間に渡って摂取すると,どの様に消化率に影響を及ぼすか,今後検討していきたい。本実験に御協力頂きました江藤圭子,春日麗子,加庭桂子,神戸香の諸氏に感謝致します。
著者
仲村 洋子 羽生 京子
出版者
和洋女子大学
雑誌
和洋女子大学紀要. 家政系編 (ISSN:09160035)
巻号頁・発行日
vol.43, pp.37-51, 2003-03-31

和服着装時における着崩れについて究明したのが本研究である。和服は、洋服と異なり着付けることによって形づくるものである。和服を着た時でも、日常の立ち居ふるまいとまったく異なるわけではないので、当然動きに伴った変化が起きる。つまり着崩れが生じる。この着崩れの要因の一つとして、着物のサイズと体格・体型との不一致があると想定し探ることを目的とした。従来より平面構成学演習の授業において、身体の各部を採寸し割り出し法によって算出した寸法を用いて縫製した試着衣と、一年次にほぼ標準寸法で縫製したゆかたを着装して比較実験を行ってきた。今回は、着装後に階段の昇降といった一定の動作を加えて、着装直後と動作後に撮影した写真による観察と、被験者自身の着心地といった感覚面から着崩れの状態を把握することを試みた。被験者をJIS規格を参考にして、S、MおよびL・LLサイズの3グループに分けて、被験者である学生自身の報告を参考にしながら比較検討した。結果として、S・Mサイズについては、ゆかた、試着衣いずれも問題とするほどの目立った着崩れは認められない。その若干の変化は、階段の昇降といった下半身の動きによって生じた現象であるにもかかわらず、裾の部分が広がることだけでなく上半身の衿の交差の形状にも見られる。違いが顕著に現れたのはLLサイズである。標準寸法のゆかたは、着装条件そのものを満たすことも困難であり着崩れを論ずる以前の問題となった。一方、試着衣については着装状態もほぼ満足できるとともに、着崩れについてもS・Mサイズと同程度になった。今回の着装実験によって、LLサイズといった極端な例ではあるが、予測通り、着崩れは体格・体型といった身体に合わせたものがより少ない事を確認した。
著者
榎本 春栄
出版者
和洋女子大学
雑誌
和洋女子大学紀要. 家政系編 (ISSN:09160035)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.135-147, 2002-03

婦人服の製作指導においては,現在,各種のパターン作成のもととして,文化式の身頃原型を使用している。今まで数多くの学生に対し,製作過程での補正を行ってきたが,原型のもととなるバストサイズの大小に関わらず,ある程度の補正をすることでそれぞれの体型に合わせる事が可能であった。しかし,今回問題となったのは,体格としては標準に近いサイズであるのにバストだけが非常に大きいという,ファンデーションのサイズから考えるとDカップ・Eカップ体型の場合である。本研究はこのようないわゆる標準と比べた場合の特殊な体型のための原型をいかに容易に作成することができるかを考え,その製作方法を示したものである。バストサイズ・背丈・ウエストサイズが異なる原型は,アパレルCADにより容易に作成することができる。そこで今回は,それらの原型を応用し,後ろ身頃と前身頃にバストサイズの異なる原型を組み合わせ,部分的に補正し体型に合う原型を作成することがねらいである。被験者の後ろ身幅と前身幅を計測し,それぞれに適合する原型を組み合わせることで,基本の部分ができる。更に前身頃に関しては,衿ぐり・肩線・袖ぐりなどにどちらのサイズのラインをどのように組み合わせて行くか等,実践を踏まえての研究を行った結果,被験者に適合した特殊体型のための原型を完成することができた。また,バストとヒップの差が大きい体型に対するプリンセスラインのワンピース作図方法を示すとともに,試作をし被験者が着装することで原型の完成度の確認をした。
著者
山本 真弓 山田 満
出版者
和洋女子大学
雑誌
和洋女子大学紀要. 家政系編 (ISSN:09160035)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.27-34, 1999-03

生食用野菜の洗浄について強酸性水と水道水による比較検討したところ,明らかに差がみられ,強酸性水の除菌効果の方が高かった。初発菌数に対する除菌率においてもほとんどが90%以上であり,一般細菌については特に顕著な差が認められた。野菜の種類別では強酸性水はカイワレ大根の洗浄に特に有効であり,一般細菌,大腸菌群とも除菌効果が認められた。本研究の要旨は第57回日本公衆衛生学会(1998・岐阜)において発表した。