- 著者
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関川 靖
- 出版者
- 名古屋文理大学短期大学部
- 雑誌
- 名古屋文理短期大学紀要 (ISSN:09146474)
- 巻号頁・発行日
- vol.22, pp.59-66, 1997-04-01
平成8年4月に保険業法が, 45年ぶりに改正された.これにより, 生命保険業の規制緩和が実施されるようになった.しかし, この規制緩和は, 金融自由化からの影響や消費者のニーズ及び経済環境の変化からそれに対応する経営方針の変化が不可欠であるため, 必要に迫られて生じたものと言われているが, 必ずしもそうではないと考えられる.この規制緩和は, 外国からの圧力や規制緩和の時勢と平仄を整えるために, そして政府の失敗を解消するために行なわれたのではないかと思われる.規制緩和は, 本来資金の効率的配分と消費者に利益をもたらすことを目標とするものであるが,実際にこの保険業法改正に於いてこのことが必ずしも該当するとは思われない.規制緩和の最初の段階だからといって, 規制緩和の方針が不明確で良いとは言えない.どこまで規制緩和すれば, 消費者の効用が最大になるかを明示すべきである.本論文は, 保険業における規制緩和の要因を明確にし, この規制緩和が経済環境の変化によるなものかどうかを検証するとともに, 保険業の特殊性も考慮に入れて規制緩和の範囲を明らかにするものである.