- 著者
-
関川 靖
- 出版者
- 名古屋文理大学短期大学部
- 雑誌
- 名古屋文理短期大学紀要 (ISSN:09146474)
- 巻号頁・発行日
- vol.21, pp.59-68, 1996-04-01
金融革新(=自由化)の進展に伴って, 金融機関間の競争が激しくなってきている.この金融革新がもたらす自由競争により, 金融機関の経営方針に変化が余儀なくされ, リテイル部門を強化する金融機関も出現し, 家計にとっては資金調達・運用の両面に於いて効率性を享受できるようになった.すなわち, このことは家計にとって, 時間選好理論が示す消費・貯蓄行動からの効用を凌ぐ消費から得られるより高い効用を受けられるようになったのである.一方, 家計の方も, デモンストレーション効果・依存効果などが作用し, 貯蓄ばかりでなく, 信用を用いた消費行動を活発に行なうようになった.このように, 金融機関側及び家計側の消費者信用に対する供給と需要の両面からの要因により, 消費者金融が飛躍的に発展したのである.しかし, 消費者金融の発展に伴い弊害も現われてきている.その代表例は, 自己破産に結びつく多重債務の問題である.本論文は, この多重債務を若年世代によく見られ債務額が比較的に小さいマイオピック(短期)欲求充足型と中高年で債務額が比較的に大きい長期欲求充足型に分けて発生要因を分析し, 個別に対策を考察した.