著者
関川 靖 山田 ゆかり 吉田 洋
出版者
名古屋文理大学
雑誌
名古屋文理大学紀要 (ISSN:13461982)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.119-127, 2011-03-31

2000年代にはいっても地域経済は疲弊しており,各地域では地域振興のために地域ブランド食品を開発し販路拡大を模索している.現状において,B1グランプリは販路拡大戦略として有効な手段であるという結果が出ている.しかし,継続的な地域振興を考えたときには問題点がある.販路拡大による継続的な地域振興を図るためには,大学との連携や地域ブランド食品の輸出という2つの新たな手段が必要と思われる.本稿では,この2つの手段の現状とその効果,および導入可能性を考察した.
著者
関川 靖
出版者
学校法人滝川学園 名古屋文理大学
雑誌
名古屋文理大学紀要 (ISSN:13461982)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.51-61, 2006

消費者は,基本的には標準的な経済理論の前提条件である所得制約・時間制約に従った合理的な行動をとるが,日々の生活における経済行動を考えると必ずしも合理的な行動をとっていないケースもある.このような消費者の非合理的な行動を,標準的な経済学によって分析することは困難であった.この非合理的な行動の分析は,経済学に心理学を導入した研究によって行われるようになった.そして,この研究は1980年代に活発化し,理論の精緻化が進み「行動の経済学」と呼ばれるようになった.本論文では,この行動の経済学が消費者の現実の経済行動を説明できるかどうかを検証するとともに,マクロ統計上に非合理的な行動が現れにくい要因も考察する.
著者
関川 靖
出版者
名古屋文理大学短期大学部
雑誌
名古屋文理短期大学紀要 (ISSN:09146474)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.59-66, 1997-04-01

平成8年4月に保険業法が, 45年ぶりに改正された.これにより, 生命保険業の規制緩和が実施されるようになった.しかし, この規制緩和は, 金融自由化からの影響や消費者のニーズ及び経済環境の変化からそれに対応する経営方針の変化が不可欠であるため, 必要に迫られて生じたものと言われているが, 必ずしもそうではないと考えられる.この規制緩和は, 外国からの圧力や規制緩和の時勢と平仄を整えるために, そして政府の失敗を解消するために行なわれたのではないかと思われる.規制緩和は, 本来資金の効率的配分と消費者に利益をもたらすことを目標とするものであるが,実際にこの保険業法改正に於いてこのことが必ずしも該当するとは思われない.規制緩和の最初の段階だからといって, 規制緩和の方針が不明確で良いとは言えない.どこまで規制緩和すれば, 消費者の効用が最大になるかを明示すべきである.本論文は, 保険業における規制緩和の要因を明確にし, この規制緩和が経済環境の変化によるなものかどうかを検証するとともに, 保険業の特殊性も考慮に入れて規制緩和の範囲を明らかにするものである.
著者
関川 靖
出版者
名古屋文理大学
雑誌
名古屋文理大学紀要 (ISSN:13461982)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.47-55, 2003-04-01

家計貯蓄行動を決定する要因は,所得(相対所得,恒常所得,生涯所得,資産所得など)であるが,現実の家計の貯蓄行動は経済動向・金融構造・利子率・所得・貯蓄水準・慣習など複雑な要因が重層的な影響をおよぼして決定される.我国家計の特徴と言える「貯蓄優先」行動を金融構造面,特に公的金融と家計の貯蓄行動との係わりを検証することは,家計貯蓄の決定要因分析に不可欠であると考えられる.何故ならば,我国の公的金融制度は他の諸国と比較して特異な面を持ち,先進国になった現在でも民間金融機関に匹敵するシェアを占めているためである.よって本論文の目的は,発展途上であった高度成長時代からバブル経済・バブル経済の崩壊の90年代末に至るまで,公的金融制度の役割変化と家計貯蓄動向の変化とを時系列でもって比較分析することで,公的金融制度の家計貯蓄へ影響を検証することである.
著者
関川 靖
出版者
名古屋文理大学短期大学部
雑誌
名古屋文理短期大学紀要 (ISSN:09146474)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.59-68, 1996-04-01

金融革新(=自由化)の進展に伴って, 金融機関間の競争が激しくなってきている.この金融革新がもたらす自由競争により, 金融機関の経営方針に変化が余儀なくされ, リテイル部門を強化する金融機関も出現し, 家計にとっては資金調達・運用の両面に於いて効率性を享受できるようになった.すなわち, このことは家計にとって, 時間選好理論が示す消費・貯蓄行動からの効用を凌ぐ消費から得られるより高い効用を受けられるようになったのである.一方, 家計の方も, デモンストレーション効果・依存効果などが作用し, 貯蓄ばかりでなく, 信用を用いた消費行動を活発に行なうようになった.このように, 金融機関側及び家計側の消費者信用に対する供給と需要の両面からの要因により, 消費者金融が飛躍的に発展したのである.しかし, 消費者金融の発展に伴い弊害も現われてきている.その代表例は, 自己破産に結びつく多重債務の問題である.本論文は, この多重債務を若年世代によく見られ債務額が比較的に小さいマイオピック(短期)欲求充足型と中高年で債務額が比較的に大きい長期欲求充足型に分けて発生要因を分析し, 個別に対策を考察した.