著者
米田 浩久 鈴木 俊明
出版者
関西鍼灸大学
雑誌
関西鍼灸短期大学年報 (ISSN:09129545)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.79-89, 2002-09-20

今回,右大腿骨骨幹部骨折症例に対し動作分析を重視したトップダウン過程の評価を基に運動療法を施行し,良好な結果が得られたので報告する。患者は43歳の男性である。 2001年3月4日,交通事故により右大腿骨骨幹部骨折と診断され,2001年7月26日,関西鍼灸短期大学附属診療所(本学)において理学療法開始となった。それまで,複数の医療機関がこれらの障害の改善を目的とした運動療法を実施し改善したが,著明な歩行の改善は認められなかった。本学における初期時理学療法評価では右下肢に関節可動域制限と筋力低下を認めた。また,歩行動作観察において,左立脚相では支持脚への充分な体重負荷が困難であり,その為,患者は右下肢の前方振出しに右骨盤挙上を要した。一方,右立脚相でも骨盤の支持脚側への移動が認められず支持脚で体重支持が不十分であった為,左下肢の前方振出しに体幹右側屈・左回旋と左骨盤挙上を伴った。このことから,我々は,両立脚相における体幹筋の非協調的な筋活動が症例の問題点であると考えた。これらの問題点に対して,両立脚相での十分な体重支持を得る事を目的に正常動作時の立脚相の動作を基にした運動療法を行った。訓練は1回当たり40分とし,週1回の頻度で3週間継続した。その結果,患者は両立脚相において安定性が向上し効率的な歩行が可能となった。以上のことから,動作分析を重視した評価は骨関節疾患に有効であることが示唆された。

言及状況

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こんな論文どうですか? <原著>動作分析が重要であった右大腿骨骨折患者に対する運動療法と筋電図学的効果検討(米田 浩久ほか),2002 http://id.CiNii.jp/CAU1L

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