著者
岩本 裕子
出版者
青山学院女子短期大学
雑誌
青山学院女子短期大学総合文化研究所年報 (ISSN:09195939)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.177-192, 2001-12-25

多文化社会ぶあるアメリカ合衆国において,アメリカ黒人たちがどのようにして,「自分探し」をしてアイデンティティを確認していくのか,という問題提起に,映像を通して一つの答えを見つけたい。独立独歩の黒人監督の先達たちが歩んだ道を,1990代にその「息子たち」は何を主張して映画を作り続けたのだろうか。映像の中で「娘たち」は詩を通して何を語り,自分自身を見つけていったのだろうか。公民権運動以降。「差別是正措置(アファーマティブ・アクション)」をめぐる議論は,白人からの巻き返しである「逆差別」議論へと発展し,1996年のカリフォルニア州住民投票「提案209」通過をもたらした。白人ばかりか,黒人をも二分するこの議論を映像はどのようにとらえたのだろうか。白人の立場から描かれた作品二本を通して考える。さらに黒人監督によって多文化社会ととらえられた空間で展開される出来事から,黒人にとっての多文化社会とは何なのかも検討する。自らに誇りを持つこと,その誇りを語りつぐこと,という二つのことは,厳しい歴史を強いられてきたアメリカ黒人という人種の使命であったし,これからも続くことだろう。こと黒人に限ったことではなく,全人種,全民族,当然日本の若者たちにとっても使命であるはずだ。自らの出自に誇りを持ち,語れることから,自分探しは始まるのだから。

言及状況

Yahoo!知恵袋 (1 users, 1 posts)

英米文化学科ということですから、英語圏制作の映画を扱うことには問題がないでしょう。 30年前とは違い、今はビデオやDVDなどで何度も画像を見直しながら台詞を起こしたり、画像を考察したり出来るので、映像作品を使用して論文を書く人は格段と増えているはずです。問題ないと思います。アメリカなどではたくさんあります。 私も卒論で映画も扱いましたが、舞台の戯曲を扱った卒論の中で後年映画化された作品につ ...

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