- 著者
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加納 陸人
- 出版者
- 文教大学
- 雑誌
- 文学部紀要 (ISSN:09145729)
- 巻号頁・発行日
- vol.15, no.2, pp.40-52, 2002-03
中国の中等教育では、ここ数年、従来の受験教育や詰め込み教育から脱却しようという動きが出ている。日本語教育においてもその動きに呼応し、時代に合った教科書が求められるようになった。本稿では高校教科書作成の指針になっている大綱(指導要領)の目的と教科書の編集方針、教科書の全体構成と作成意図・目的などについて触れ、教科書を使用した教師の感想や意見・問題点について言及する。現場の多くの教師には、当初、新しく作成された教科書を高く評価しながらも、新しい内容や大学受験との関係で、どのように対処したらいいか戸惑いも見られた。しかし、教師自身が教科書を使用していく中で、生徒のコミュニケーション能力の必要性や文化の大切さなどを強く感じるようになってきた。教科書が現場の意識に影響を与えているといえる。また、大学受験の出題項目にも変化がみられ、従来の暗記をすれば対応できるものでなくなってきている。ここにも教科書の意図が反映されている。