著者
小川 幸持
出版者
三重大学生物資源学部
雑誌
三重大学生物資源学部紀要 (ISSN:09150471)
巻号頁・発行日
no.9, pp.p89-95, 1993-01

エンバク属,Avena abyssinica(4x,AsB), A. sativa cv. Victory (6x,ACD),およびA. fatua (6x,ACD)の収穫後4か月の種子(えい果)の各種温度における発芽を比較した。A. abyssinicaは,15℃から30℃の温度でよく発芽した。A. sativaの発芽は,15℃と20℃でよく発芽したが,25℃と30℃では減少した。また,A. fatuaは25℃と30℃で発芽しなかった。この実験結果は,A. abyssinicaの種子は休眠性がなく,A. sativaは中程度の休眠性を,A. fatuaは深い休眠性を示している。この3種の種子を横半分に切断して胚のある側と胚のない側に分けて,外生ジベレリン<special>A3(GA3)</special>の有る無しのそれぞれの場合のα-アミラーゼ生成を,後熟期間との関連で調べた。A. abyssinicaの胚のある側は,<special>GA3</special>がなくともα-アミラーゼを生成した。胚のある側も胚のない側も<special>GA3</special>誘導α-アミラーゼ生成は,後熱期間に関係なく多かった。これに反して,A. sativaとA. fatuaの胚のある側の<special>GA3</special>誘導α-アミラーゼ生成は,胚のない側に比べ少なかった,それぞれの側の<special>GA3</special>誘導α-アミラーゼ生成は,後熟期間に伴い増加した。この3種の間で,A. abyssinicaのアミラーゼ生成が最も多く,A. fatuaが最も少なく,A. sativaは両者の中間程度であった。上記の実験結果は,A. abyssinicaの胚は,胚乳の<special>GA3</special>誘導α-アミラーゼ生成に影響しないことを示している。これに対して,A. sativaの胚は,A. fatuaの場合と同様に.胚乳の<special>GA3</special>誘導α-アミラーゼ生成を抑制することを示している。上の各種エンバク属の種子の発芽休眠性の違いは,胚乳におけるα-アミラーゼ生成の多少,あるいは後熟に伴うα-アミラーゼ生成の変化と関係があることを示唆している。

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