- 著者
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長谷川 計二
- 出版者
- 数理社会学会
- 雑誌
- 理論と方法 (ISSN:09131442)
- 巻号頁・発行日
- vol.15, no.2, pp.249-260, 2000
「生活環境主義」、「地域共同管理論」と、社会的ジレンマ研究に代表される数理的アプローチはともに、利用者としての地域住民自身が、いかにして自分たちの居住する地域を再編成し環境を保全していくかを問題とする点で探求の方向性を共有している。本稿は、資源管理問題と環境保全問題の具体的事例を手がかりに、これら諸アプローチ間の相互理解を図り、より一層の対話を促進することを目的としている。「生活環境主義」は、その方法が明確であり、数理的アプローチにおいて、たとえばゲームの構造を事例に即して考察し比較する上できわめて有効である。また「地域共同管理論」は、地域住民による主体的な地域の運営・管理を可能とする条件の解明に取り組んでおり、そこで明らかにされた諸条件は社会的ジレンマの新たな解決可能性を示唆する。他方、数理的アプローチは、地域社会に共通して見られるシステム安定化装置(たとえば、村八分)の存在根拠を示すとともに、地域管理に向けた諸条件の有効性を明らかにすることで、「生活環境主義」、「地域共同管理論」による研究に貢献することができる。