著者
蓮池 穣
出版者
北海道社会学会
雑誌
現代社会学研究 (ISSN:09151214)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.83-98, 1997
被引用文献数
1

戦後の北海道民の投票行動は,国政選挙についてみても,全国の平均値から大きくずれていた。自民党と社会党への投票がほぼ拮抗し,さらにこの二政党への投票が,全投票のなかできわめて大きな割合を占めていた。特に社会党の得票率では,1958年以降全国的に大きく下降したのに対し,北海道での下降は目立つほどのものではなかった。このため北海道は,「最後の社会党王国」ともいわれた。<BR>北海道に在住する大学関係者による投票行動調査は,1953年から断続的ながら続けられてきた。これらの調査では,それぞれ大なり小なりに,なぜ北海道が「社会党王国」であり続けているのかが,問題関心として共有されてきたといえる。1970年以降,コンピュータの利用も含めての調査技術の発達に加え,本州各地域での調査も活発に行われるようになり,「北海道の特殊性」もかなり具体的に検証が可能になったといえる。<BR>この課題のためには,自民,社会両党の支持者の政治的意見,所属団体,投票政党とその変動,支持の強さ,生活満足度,拒否政党などについて,多面的かつ継続的な調査・分析が必要であった。また,調査結果の解釈では,論者によって異なるところもあろう。筆者は,この「北海道の特異性」を,北海道における政党と政党支持者のかかわりのゆるさ(ルーズなかかわり)から説明した。これは,北海道における社会関係の特性ともかかわっていよう。

言及状況

外部データベース (DOI)

Twitter (2 users, 2 posts, 0 favorites)

1 1 https://t.co/tDoVJyDdQA
北海道民の政治意識と投票行動 政党と政党支持者の関わりが緩い北海道の特殊性 Articles -  Political Consciousness and Voting Behavior : Post・war Hokkaido https://t.co/DJGQbZdMQz

収集済み URL リスト