著者
桜井 淑子 柘植 美紀子
出版者
名古屋女子大学
雑誌
名古屋女子大学紀要 (ISSN:02867397)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.35-40, 1975-03-15

(1)でんぷんは食器をあらかじめ水浸しておけば洗剤の必要はない。しかしこの場合,湯で予洗して流水すすぎするのが結果がよい。(2)たんぱく質は単純な場合は洗剤は不要である。洗いかたはでんぷんと同様でよい。(3)脂肪は水洗いではとれない。洗剤を用いたほうが早くとれる。しかし湯を用いて時間をかければ洗剤がなくても落ちる。植物性脂肪より動物性脂肪のほうが落ち難く,また皿のふちやくぼみに残ることが多い。(4)食品は実験で行なったような単純なものは少なく,またこれが調理されるとさらに複雑な状態となって食器にもられ,それを汚すことになるから,洗いかたもそれによって適宜行なわなければならないことは当然であろう。(5)食器のABS残留は野菜瀬に比べて少ないようであるが0ではない。特に原液を用いることは使用規準量の1000倍であるから残留も多く,また皮膚からの浸透などを考えれば避けるべきである。濃度を高くしても洗浄効果が上がるわけではなく,不経済でもある。あらかじめ希釈しておいて用いるべきである。(6)流水すすぎは10秒以上したほうがよいが,節水の点からも有効な流水すすぎをすべきであり,実験の結果,ため水洗いと流水洗いを比較して,いずれにも大差なく洗剤残留がみられたことは洗剤が落ち難いものであることを示している。(7)なお洗いかたとして,汚れの少ないものから洗うこと,食器の裏を十分にすすぐこと(特に重ねる場合はそれが必要である)途中で洗剤を足さないことなどに注意すべきである。(8)素焼の食器や,傷のある食器は食品残留も洗剤残留も大であるから使用しないほうがよい。(9)石油系ABS,LAS洗剤は出来るなら使用しないほうがよいが,天然油脂洗剤は洗浄力が弱く,また高価でもあるから,石油系洗剤のメリットを考えてこれを用いるに当たっては十分の注意を払って,極力残留を少なくしなければならない。

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