- 著者
-
前田
- 出版者
- 神奈川大学
- 雑誌
- 神奈川大学言語研究 (ISSN:09153136)
- 巻号頁・発行日
- vol.25, pp.139-162, 2002
多くの日本に居住している外国人達がよく感じることは彼らが日本人からたびたびファースト・ネームで呼ばれることである。これは日本人同士がファースト・ネームで呼び合うケースと比べると比較にならないほど頻繁に行われている。日本人は外国人に対して自分たちをファミリー・ネーム+タイトル(-さん,Mr.またはMs.等)で呼ばれるように期待しているにもかかわらず、彼らは外国人に対してファースト・ネームで呼び返すことが多い。外国人にとってこれは次の二つの原理原則を破ることになる。一つ目は呼称の相関性、二つ目は民族にかかわらず同等の扱いがなされていないと言うことである。しかし多くの日本人にとって外国人はどんな場合でもファースト・ネームで呼ばれることを好んでいると信じ込まれている。筆者は各全国ネットのテレビ局で放送している番組を通じてこれらの現況を調べてみることにした。十八ヶ月かけて二百例を観察した結果、下記の二つの主な事例が判明した。外国人は自分たちの国の中で呼ばれるよりも多くファースト・ネームで呼ばれている。外国人女性のほうが外国人男性よりも頻繁にファースト・ネームで呼ばれている。