- 著者
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吉田 悦子
- 出版者
- 三重大学
- 雑誌
- 人文論叢 : 三重大学人文学部文化学科研究紀要 (ISSN:02897253)
- 巻号頁・発行日
- vol.20, pp.193-202, 2003-03-25
本稿では、日英語のパラレルコーパスとして作成された地図課題対話データを利用して、対話的談話における日英語の指示表現の分布を対照するための方法論のひとつであるセンタリング理論をとりあげ、その応用可能性について考察する。センタリング理論とは、談話における局所的な照応現象をモデル化するために提案されたものであり、英語の代名詞や日本語のゼロ代名詞が話題の中心として重要な役割を担うことを談話レベルで説明する言語モデルである。センタリング理論を対話的談話に応用する際の問題点としては、発話と発話との境界設定、対話参加者と談話内の指示対象との関係、「先行発話」の定義、談話要素を含まない発話の扱いなどが指摘されている。これらに関して具体例を提示すると共に、現時点での暫定的なベースラインの提案をおこなう。