- 著者
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小山 良太
- 出版者
- 北海道大学
- 雑誌
- 北海道大学農經論叢 (ISSN:03855961)
- 巻号頁・発行日
- vol.59, pp.81-92, 2003-03-28
日本最大の馬産地日高地域は、軽種馬生産を中心として各関連産業の集積産地として成立しているのである。さらに、日高地域は、その集積構造の中で大規模企業的経営層が多数の家族経営層を相手に多角的な事業(種牡馬事業、産地育成、繁殖牝馬の仔分・預託など)を展開することで成立している。この意味において、現在、産地に浸透している構造不況の影響は、小規模家族経営層だけではなく、大規模企業的経営層にまで波及していくものと考えられる。このことは、日本最大の馬産地日高地域全体に壊滅的な影響を与えることを意味する。そこで、本稿では、軽種馬産業集積地における大規模企業的経営と多数の中小規模家族経営と事業的な関連性を明らかにするために、日本最大の牧場Aグループと日高の生産者との関連構造を分析し、馬産不況がもたらす産地へ影響を明らかにしていく。この馬産不況の影響をみる分析視角として、現在深刻な経営危機にある産地競馬の廃止の影響を一つの指標として用いることで構造的な関連性を明確にしていくこととする。