著者
孔 泰寛
出版者
同志社大学大学院総合政策科学会
雑誌
同志社政策科学研究 (ISSN:18808336)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.235-251, 2003-03

最近、医療過誤や医療事故が数多く報道されているが、これらは一過性の現象ではなく、看護婦等のスタッフ不足、医療の高度化・複雑化、医療教育等の問題を背景とする、医療システムの構造上の問題であると考えられている。医療全体への不信感を払拭するためには、医療の質の向上への取組みを行う必要があるのはもちろんであるが、同時に、アカウンタビリティの確保が重要である。今回の研究目的として、我国の医療分野における高次のアカウンタビリティが、いかにすれば確保できるのかを主眼に置いた。しかし、我国の医療におけるアカウンタビリティの議論はほとんどなされていないのが現状である。そこで、医療のアカウンタビリティ論が主張されて久しい米国の現状を調査することが、我国の医療のアカウンタビリティ確保に結びつく手がかりであると推察した。そこで今回、まずアカウンタビリティの概念の歴史と現状を整理し、医療におけるアカウンタビリティを米国を参考に、その背景・視点から3つのモデルを提示した。そしてそれらを日本の現状と照らし合わすことにより今後の日本の医療におけるアカウンタビリティの課題として、評価のシステムの構築が必要であると考えた。いいかえれば、アカウンタビリティの確保には、評価のシステムがなければ困難となるといえよう。その評価システムにも、また種々の立場からのものが必要となると考えた。研究ノート

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