著者
田中 八州夫
出版者
同志社大学
雑誌
同志社政策科学研究 (ISSN:18808336)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.139-153, 2012-03

研究ノート(Note)地域包括ケア研究会2009年度報告書において公表された「地域包括ケアシステム」は、医療・介護・予防・生活支援・すまいの5つを軸とした社会資源を活用することにより、高齢者が安心して住み続けることのできる地域をつくることを目標としている。この地域包括ケアシステムは、第5期介護保険事業計画のグランドデザインとして位置づけられ、システムを推進する中心的な役割を果たすのが地域包括支援センターである。本論文では、地域包括支援センターのおもな業務である「介護予防支援」「総合相談」「虐待防止・権利擁護」「包括的・継続的ケアマネジメント」のうち、地域包括ケアシステムにおける「総合相談」の重要性を明確にする。そして、地域包括支援センターの運営形態及び地域包括支援センターを構成する「保健師」「社会福祉士」「主任ケアマネジャー」の3職種の現状と課題を明らかにする。そしてその課題に対し、運営形態に関する改善策及び今後地域包括支援センターの職員に必要とされる資質・スキルについて検討していく。
著者
木下 健
出版者
同志社大学
雑誌
同志社政策科学研究 (ISSN:18808336)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.79-92, 2012-09

研究ノート・資料(Note)本稿は、過去20年間の衆参予算委員会において議事運営に関する与野党の対立構造を明らかにしたものである。分析対象期間は1992年から2011年の20年間とし、与野党対立を三つの尺度を用いて分析を行った。一つ目の尺度は審議空転であり、日程協議を主な分析の対象にしている。残る二つの尺度は、委員会審査内における与野党対立を対象としたものであり、一つは委員長の理事会協議をする旨の発言回数であり、もう一つは速記が止められた回数を分析対象としている。予算委員会における議事運営の与野党対立を分析することを通じて、参議院予算委員会の審議機能の検証を試みた。一つ目の尺度からは国会審議における空転割合が大きくなる一因が政治倫理問題の多寡によることが改めて確認された。その他、2000年及び2008年に関しては与党が強行採決したことに対し、審議拒否がなされ空転が生じていることから、与党の強硬姿勢が空転割合を増やす要因となっている。審議空転に関しては衆議院での審議段階において、審議拒否がなされ空転することが主となっているが、参議院での審議段階において93年、08年及び09年に審議空転が生じている。参議院においては30日ルールの制約があるため、93年以降政治倫理問題に関して空転は生じていない。参議院段階における93年の空転は佐川急便事件であり、証人喚問を強く求めるものであったが、効果は限定的であった。他方08年の参議院段階での空転はガソリン税の暫定税率延長のつなぎ法案に関して、期限切れを目指すものであり、09年は定額給付金などに反対し、集中審議を求めたものであり、倒閣や政権交代を狙っての野党戦術となっている。残る二つの尺度に関して、理事会協議回数については20年間を通してみると衆議院予算委員会の方が参議院予算委員会よりも多く理事会協議回数が現れており、委員会審査から理事会協議へ影響を及ぼしていたことがうかがえる。他方で速記中止回数については参議院予算委員会の方が多くなっており、徹底した追及がなされているといえる観測結果が得られた。その他、重回帰分析により空転割合が増えるほど、速記中止回数が増えることが判明した。また野党が参議院で過半数を占めている場合、速記中止回数は減ることがわかった。衆参の審議機能を考えるにあたっては、衆議院で追及しきれなかった場合、参議院で追及がなされるため、衆参を一体のものとして評価する必要がある。衆参一体のものと評価したうえで、参議院予算委員会は片道方式を採用したことに起因して、二院制が行政府監視機能を強めていると考えられる。
著者
田中 八州夫
出版者
同志社大学
雑誌
同志社政策科学研究 (ISSN:18808336)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.209-221, 2013-03

研究ノート・資料(Note)2000年に創設された介護保険制度は、それまで主に女性が担ってきた家庭内での介護を、社会全体で支えることを目的に創設された。そして、わが国の介護保険制度は「介護を要する状態」の要介護者だけでなく、「介護を要する状態に陥るおそれがある」要支援者も介護保険での給付対象としている。2000年の介護保険制度の創設後、要支援や要介護1の軽度認定者が著しく増加した状況に対応するため、2005年の法改正で介護予防の拠点として地域包括支援センターが創設された。しかし、その後も要支援認定者等の軽度認定者は増加を続け、地域包括支援センターは介護予防支援業務に忙殺され、本来の業務である包括的支援事業に取り組む余裕がない状況が続いている。2000年に創設された介護保険制度の検討過程において、軽度者に対して予防的給付を行うことは、保険事故に対して給付を行う保険制度の原則に反するのではないかという意見も多く出された。しかし、最終的には要介護と要支援は一体のものとして取り扱うべきであると結論づけられ、要支援認定者に対しても予防給付が行われることとなった。介護保険の本来の目的である「介護の社会化」の「介護」の概念から逸脱しているケースが多くみられる現状に対し、本論文では、要支援者に対する予防給付が過剰に発生するメカニズムについて、申請時の状況、それに続く要介護認定における認定調査と介護認定審査会およびケアマネジメントの各プロセスの状況分析をもとに考察を行うことで、申請・利用の件数が増加する仕組みを明らかにしていく。
著者
米本 倉基
出版者
同志社大学
雑誌
同志社政策科学研究 (ISSN:18808336)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.109-125, 2012-03

研究ノート(Note)本研究の目的は、医療分野において注目されている女性医師の増加に関して、その現状を国内外の統計データ、および先行論文をレビューすることで明らかにし、女性医師の就業支援が、今後のわが国の医療政策の重要な視点の一つとなることを論じることである。レビューの統計データは、主に厚生労働省、およびOECDヘルスデータを、論文は国内をCiNiiに、海外はPub Med Centralを中心として収集した。その結果、わが国において、女性医師の占める割合は、諸外国に比べていまだ低いことが確認されたが、その割合は近年急激に増加しており、その対応策の遅れが、わが国の医療現場の疲弊にいっそう拍車をかけることになる懸念が示された。現状における政策の問題点をあげれば、女性医師は、眼科や皮膚科などの特定の専門診療科へ集中する傾向や、結婚や出産後における離職と復職へのハードル、特にパート勤務や診療所開業医への転出する割合は男性医師よりも高く、病院経営に大きく影響している。にもかかわらず、その対策としての女性医師のキャリア支援や柔軟な勤務スタイルの整備など、勤務医のワーク・ライフ・バランス支援策が遅れ、これによって、わが国全体の勤務医不足に影響を与えている現状が明らかとなった。一方、すでに女性医師の割合が、わが国よりはるかに高く、その対策も進んでいる諸外国においても、前述した女性医師の特徴的な傾向を認めることができるが、その政策には見習うべき点が多く、今後の「研究上の視点」とした。The purpose of this work makes the present condition an obvious about the rise in a female physician which attracts attention in the medical field in reviewing statistical data in and outside the country and precede thesis, and is arguing that a female physician's employment support is set to one of the important viewpoints of the health care policies of future our country. I mainly collected the statistical data of the review with the Ministry of Health, Labour and Welfare and the OECD health datum. Moreover, the thesis collected domestic and overseas collected Pub Med Central as a meditullium to CiNii. The result checked that the percentage of the female physicians of a Japanese was low compared with foreign countries. However, the ratio is increasing in recent years to the sudden. And the apprehension of the time-lag of the measure having affected the shortness of the numbers of physicians of our country was shown. A female physician is a tropesis which I concentrate to specific special specialties, such as an ophthalmology and a dermatology. And the hurdle of reappointement after a marry or a tokos is high for a female physician. Especially the percentage to part employment or clinic general practitioners that moves out has a female physician higher than a virile physician, and he has influenced the hospital management greatly. Nevertheless, a carrier support of the female physician of a Japanese, maintenance of a flexible employment style, and the work-life balance support system of a medical doctor in hospital are insufficient. On the other hand, the policy over the rise in a female physician of foreign countries has many points to study. I would like to research about it from now on.
著者
北川 雄也 キタガワ ユウヤ Kitagawa Yuya
出版者
同志社大学政策学会
雑誌
同志社政策科学研究 = Doshisha policy and managemant review (ISSN:18808336)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.387-405, 2017-10

今川晃教授追悼号研究ノート(博士資格論文)(Note (Doctoral qualification these))本稿の目的は、負の政策効果を把握するためにはどのような方策が有効であるかを理論的に検討することである。具体的には、行政による政策効果把握が有効であるのか、それとも行政以外の主体による政策効果把握の成果を活用した方が有効であるのかを検討する。その際、負の政策効果が政策対象者の生活状況ないしは生命を脅かしうるほど大きな影響を与える、障害者政策を理論枠組みの適用対象にあてはめて議論を進める。
著者
大竹 恵子 オオタケ ケイコ Otake Keiko
出版者
同志社大学政策学会
雑誌
同志社政策科学研究 = Doshisha policy and managemant review (ISSN:18808336)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.39-52, 2016-09

研究ノート(Note)近年、日本では高齢化にともない、介護サービス分野における人材確保が緊急の課題となっている。本論文では、中心的役割を担うことが予想される介護福祉士に着目し、介護分野における就業率等の就業状況や、介護分野での就業に関する意識について、既存の統計データや調査を基に現状と課題を考察している。その結果、今後の研究課題として、ワーク・ライフ・バランスに関する要因、介護職場への適切なイメージにつながる教育段階での取り組み、就業継続を促す現場での経験、専門性の発揮の有無による就業継続の違いなどについて検討していく必要があると考えられる。
著者
田中 八州夫
出版者
同志社大学
雑誌
同志社政策科学研究 (ISSN:18808336)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.139-153, 2012-03
被引用文献数
1

研究ノート(Note)地域包括ケア研究会2009年度報告書において公表された「地域包括ケアシステム」は、医療・介護・予防・生活支援・すまいの5つを軸とした社会資源を活用することにより、高齢者が安心して住み続けることのできる地域をつくることを目標としている。この地域包括ケアシステムは、第5期介護保険事業計画のグランドデザインとして位置づけられ、システムを推進する中心的な役割を果たすのが地域包括支援センターである。本論文では、地域包括支援センターのおもな業務である「介護予防支援」「総合相談」「虐待防止・権利擁護」「包括的・継続的ケアマネジメント」のうち、地域包括ケアシステムにおける「総合相談」の重要性を明確にする。そして、地域包括支援センターの運営形態及び地域包括支援センターを構成する「保健師」「社会福祉士」「主任ケアマネジャー」の3職種の現状と課題を明らかにする。そしてその課題に対し、運営形態に関する改善策及び今後地域包括支援センターの職員に必要とされる資質・スキルについて検討していく。
著者
中村 義樹
出版者
同志社大学
雑誌
同志社政策科学研究 (ISSN:18808336)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.219-232, 2005-12

研究(Note)保育所待機児童問題は、大きな社会問題となっている。政府は「待機児童ゼロ作戦」を打ち出し待機児童解消政策を実行している。しかし、保育所施設数および保育所利用児童数が増加しているにもかかわらず待機児童数は増加している。女性の就業率の上昇、および核家族化等の要因により、保育所の利用を希望する勤労世帯が増えているからである。待機児童を解消するには3つの手法が考えられ、一つは保育所数の増加、二つ目は育児休業制度の整備、三つ目は所得保障制度の整備である。本稿では、保育を必要とする子どもの親の就業支援を考慮し、三つの手法のうち第一の保育所の整備を選んだ。理由として育児と仕事を両立する形で望ましい保育サービス環境を地域に作っていくことが大事だと考えたからである。本稿の目的は、進む少子化の中で、増える保育所待機児童問題をとりあげ、既存の社会資源を活用した保育所整備の可能性を検証することにある。そこで、神戸市の待機児童数に着目し、神戸市内の特別養護老人ホームを社会資源としてとらえ、特別養護老人ホームに保育所を併設する施策によって、待機児童数の早期解消と保育所整備コストの軽減の可能性を分析している。
著者
松本 茂章
出版者
同志社大学
雑誌
同志社政策科学研究 (ISSN:18808336)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.103-122, 2007-12

研究ノート(note)筆者は、都市部に生まれつつある芸術創造拠点の現場を歩き、調査研究することを通じて、文化施設と地域ガバナンスの関係を検討してきた。なかでも官民協働の文化施設づくりは、地域ガバナンス実現の可能性を開くと考え、これまで京都市が2000年に設置した京都芸術センターや、神戸のNPO法人「芸術と計画会議」(C.A.P.)が運営している民間アーツセンター・CAP HOUSEを調査した成果を報告してきた。今回は、劇場寺院・應典院に焦点を当てる。應典院は大阪市天王寺区下寺町にある浄土宗の名刹・大蓮寺の塔頭で、1997年4月に再建された。円筒形の本堂は設計段階から劇場として使えるようにつくられており、舞台芸術際「space×drama」や高校生の演劇祭「ハイスクール・プレイ・フェスティバル」が繰り広げられてきた。運営はNPOである應典院寺町倶楽部があたり、宗派に関係なく、だれにでも開かれている。本稿では、運営システムの現状や在籍するスタッフを紹介する一方で、設立に至る過程を詳しく振り返り、民間の文化政策のありようを明らかにする。應典院は行政の資金を頼らず、純粋民間の試みとしてスタートしたが、その後、少しずつ行政との連携を重ね、2006年度から4年間、大阪市の公的資金を獲得して、若者のアートNPO活動を支援する「アートリソースセンター by Outenin」(築港ARC)を大阪市港区に開設した。應典院の取り組みを検討することで、政府体系(ガバメンタル・システム)の変容を見つめ、地域ガバナンスの将来像を考えたい。本稿では、應典院の現状や運営システムについて財務、人材の面から分析を行ったあと、劇場機能に注目して、新進劇団を支援する舞台芸術祭「space×drama」や「ハイスクール・プレイ・フェスティバル」について報告する。さらに芸能と密接な関係にあった大阪の寺町文化に触れ、歴史的な必然性を探る。また住職秋田光彦が映画プロデューサーとして活躍した20代の東京時代が應典院の<原点>であることを指摘する。そして境内の外に飛び出して地域経営の一翼を担うようになった應典院の地域活動を考察したうえで、民による公共性に言及しながら文化施設の意義を考える。斎藤純一は公共性について「official」「common」「open」の3分類を示すが、應典院はこの3点に合致し、民の活動でありながら公共性を担保していることを指摘する。最後に寺院をめぐる人々のネットワークが地域ガバナンスに貢献することを訴える。
著者
在原 幸子
出版者
同志社大学
雑誌
同志社政策科学研究 (ISSN:18808336)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.127-138, 2009-07

研究ノート(Note)本稿は、昨年来の景気後退による採用内定者の内定取り消しや新規学卒者に対する採用抑制、さらには、近年深刻化する就職超氷河期世代の年長フリーター(非正規雇用者)化等によりその問題性が再び問われ始めている「新卒採用に係る年齢制限の妥当性」について、検討を試みるものである。まず、年齢制限の弊害について、非正規雇用者の正規雇用化が困難な現状だけでなく、生涯賃金に換算した場合の正規雇用者との格差や、低所得(者)ゆえに大方生活保護による支援が必要になってくると思われる老後の試算結果等も示し、弊害の深刻さを知る。続いて、募集・採用段階の年齢制限の違法性が争点となった事案や新卒採用での年齢制限を例外的に許容する雇用対策法の法条文、そこにいたるまでの経緯等を概観し、制限の合理性の根拠とされてきた「長期勤続によるキャリア形成を図る」という雇用慣行の存在を確認する。その上で、募集・採用に係る年齢制限禁止の例外事由としてそうした取扱いが妥当なのか否か、ADEA(アメリカ年齢差別禁止法)の定める例外等と比較することにより、一応の判断を行う。さらに、当該慣行の現場での実効性についても「知的熟練論」の観点から考察を加える。そして最後に、当該例外事由の取扱いを含め、年齢制限による弊害を解決するために今後検討していくべき方向性について私見を述べる。In this paper, the author discusses "the validity of age limit in hiring new graduates". First, under such an age limit, since it's difficult for non-regular workers to move to the regular employee who earns high wages comparatively, they feel uneasy to the future. However, on the other hand, judicial precedents and Employment Measures Law take account of existence of an employment practice which aims to develop employee's career in longer service, and exceptionally accept the rationality of that age limit. So, I think about the validity of that age limit from exceptions which ADEA defines, and "theory of intellectual skills". And finally, I'd like to propose the direction which should be considered in order to solve the evils which are caused by the age limit including the case of such hiring of new graduates.
著者
武蔵 勝宏
出版者
同志社大学
雑誌
同志社政策科学研究 (ISSN:18808336)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.33-45, 2007-12

研究ノート(Note)2007年参議院選挙は、自民党の大敗と民主党の大躍進という結果に終わった。自民党が国民の支持を受けなかった要因には、社会保険庁における年金記録問題が選挙の際に争点となったことがあげられる。政府は、2004年の年金制度改革法案の審議の際に発覚した社会保険庁の不祥事とそれに端を発する年金保険料の収納率の低迷に対応するために、二度にわたって、社会保険庁改革法案を国会に提出した。最終的に成立した日本年金機構法案は、非公務員型の公法人に社会保険庁を廃止・分割するというものであったが、その内容は、組織設計の具体化を第三者機関に委ねるなど年金業務に対する国民の不信を払拭するものではなかった。こうした法案自体がもつ問題点と政策決定過程における説明責任の不足が、有権者による安倍政権に対する低い評価につながったと考えられる。
著者
久保 真澄 北 寿郎 クボ マスミ キタ トシロウ Kubo Masumi Kita Toshiro
出版者
同志社大学政策学会
雑誌
同志社政策科学研究 = Doshisha policy and managemant review (ISSN:18808336)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.261-276, 2017-10

今川晃教授追悼号論説(Article)PDPを生産しているメーカーは存在しておらず、PDPは市場からは完全に姿を消している。ディスプレイデバイス業界における間違った産業予測により、多くの日本企業が短命に終わるPDP産業に巨額の投資を行った。技術者たちへのインタビューにより、「技術者の集団思考的判断」が技術領域における限界予測へ及ぼす影響について明らかにした。技術者たち特有の「専門職共同体における集団思考」の存在についての可能性を確認した。それは、非専門職共同体における集団思考とは全く異なるものである。The manufacturer producing PDP doesn't exist, and PDP has disappeared perfectly from a market. Many Japanese companies did a huge investment in the PDP industry which doesn't have a long life span by a wrong industrial prediction in display device industry. By an interview to engineers, I made it clear about the influence of "engineer's groupthink-like judgement" on predictions of limits in the technological field. A possibility about the existence of "groupthink in a professional collective" peculiar to engineers was confirmed. That's completely different from groupthink in non-professional collective.
著者
清水 習 シミズ シュウ Shimizu Shu
出版者
同志社大学政策学会
雑誌
同志社政策科学研究 = Doshisha policy and managemant review (ISSN:18808336)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.27-40, 2017-03

論説(Article)日本社会科学研究において、談話分析とその理論の認知度は依然として低く、「談話分析」と「言説分析」が同義語として捉えられるような誤解がある。この問題に対し、本稿では、談話分析とその理論誕生の背景を整理し、また、英国財政危機談話の例をもとに分析手法とその応用を明確にすることで、その研究視座と分析射程を思想史的に明らかにした。
著者
水島 洋平
出版者
同志社大学
雑誌
同志社政策科学研究 (ISSN:18808336)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.81-89, 2011-03

論説(Article)本稿の目的は、Anderson and Bushman(2002)が提唱したGeneral Aggression Model(以下、GAM)を用いて、男性家族介護者が高齢者虐待を引き起こすメカニズムを、衝動的攻撃と戦略的攻撃の視点から明らかにすることにある。本稿の分析で用いるGAMは、攻撃行動が生起するまでの段階が想定されており、男性家族介護者による高齢者虐待生起のメカニズムを明らかにするうえで有用であると考えられる。分析の結果、家事や介護行為に追われて内的状態を吟味するための時間的余裕がない、あるいは、介護に没頭してしまうことによって認知的資源に余裕がない男性家族介護者は、即時的評価を通じて衝動的攻撃を行なう可能性が高いことが導き出された。一方、長期間の介護生活を送ることによってもたらされる家事や介護行為への慣れ、介護の否定的側面のみならず肯定的側面への気付き、家族会に参加して介護困難を吐露するなど、内的状態を吟味するための時間や認知的資源に余裕がある男性家族介護者は、衝動的攻撃を選択せず、再評価を通じて状況を再解釈し、戦略的攻撃を行なう可能性が高いことが導き出された。最後に、男性家族介護者の「社会的孤立」を防ぐことが、男性家族介護者による高齢者虐待防止のための介入策や支援策のひとつになりうることを提案した。
著者
新倉 純樹
出版者
同志社大学
雑誌
同志社政策科学研究 (ISSN:18808336)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.73-83, 2013-09

論説(Article)近年、日本では急速に少子高齢化が進行し、少子高齢化によって、多くの弊害が発生している。その一つが本稿の主題でもある少子高齢化によって生じる、財政上の世代間不均衡の問題である。世代間不均衡の問題は、少子高齢化によって、財政における高齢者向け支出が拡大し、その支出を支える現役世代が減少していることに端を発している。また、高齢者向け支出が拡大し、日本の財政運営の持続可能性が危ぶまれる中、抜本的な解決策が講じられているとは言い難く、その負担は将来へと先送りされていることもまた大きな問題である。世代間の不均衡の問題を考えるにあたり、まず人口構造の変化、すなわち高齢者層の相対的な増加によって、高齢者層の政治的発言力が高まった結果、高齢者層向け支出が拡大する一方、若年者層向け支出が縮小されるという政治的なバイアスがかかっている。さらに、高齢者層の政治的発言力の上昇は、人口構成の問題だけでなく、投票率にも表れている。若年者層よりも、高齢者層のほうが、投票率もまた高い状態にあるからである。本稿ではそれらのことを踏まえ、世代別の政治的発言力を人口構成上の観点からだけでなく、世代別の投票率も加味することによって分析を行っている。2009年に行われた衆議院議員総選挙の世代別投票率を用いて、若年者層向け支出として児童福祉費及び義務教育費を、老年層向け支出として老年福祉費に対してそれぞれどのような影響を与えるか、実証的な分析を行った。その結果は、若年者層投票率の上昇が若年者層向け支出の拡大を、高齢者層投票率の上昇が高齢者向け支出の拡大を促す、というものであった。本稿では、以上のような実証分析の結果を踏まえ、若年者層投票率が低いことに財政上の世代間不均衡の問題を深刻化させる原因の一端があることを指摘する。そして、世代間不均衡を解消するために、抜本的な対策が必要であることを主張している。
著者
木下 健
出版者
同志社大学
雑誌
同志社政策科学研究 (ISSN:18808336)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.45-59, 2013-09

論説(Article)本稿は、国会審議における国政調査について取り上げ、その実態を明らかしたものである。衆参における比較を通じて、国会審議の国政調査の量に関する分析を試みた。分析の結果、明らかとなった点は次の三点である。一点目は、付託された法案数が多ければ国政調査の量自体が圧迫される委員会があるということである。二点目は、会期制が国政調査の量に貢献しているということである。これは我が国では会期不継続の原則があるために、臨時国会・特別国会においては国政調査を行なっているという実態があることを表している。三点目は、マカビンズとシュオルツによるパトロール型監視機能は一部の委員会(衆農水委、衆厚労委、参厚労委)において軽視されることを実証した点である。
著者
小田切 康彦 浅野 令子
出版者
同志社大学
雑誌
同志社政策科学研究 (ISSN:18808336)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.15-23, 2009-07

論説(Article)NPOの財政基盤の弱さが指摘される日本においては、近年、組織や活動を持続させるためのNPOの経営モデルをいかに示すかが研究の焦点となっている。本稿では、こうした研究への貢献を企図し、滋賀県のNPO法人の財務データを用いて、その財政上の特性を議論した。具体的には、NPOの収入構造の実態確認とその類型化を行うことを通じて、収入構造にいかなる特徴があるのか、探索的に分析した。分析によって得られた主な結果および知見は次の通りである。(1)滋賀県のNPO法人の経常収入は、全国的な調査結果と比較すると比較的小規模な団体で占められている。また、経常収入に占める事業収入の割合が低く、その他の各収入の割合が高い傾向にある。(2)会費・入会金収入、寄付金収入、事業収入、補助・助成金収入、その他収入、が経常収入に占める比率を基にしたクラスター分析および主成分分析によって、NPOの収入構造は「会費・入会金型」「寄付型」「事業型」「分散型」の4つに分類される。(3)分散型は、すべての収入を均等的に保持する特徴を持つ。また、他のクラスターに比べ確保している財源の数が多く、また、一定の財政規模もある。この分散型の特性を持つ団体の存在は、多様な財源を獲得できる組織の有り様を示している可能性があり、NPOの組織や活動の持続性を考えるうえで非常に重要といえる。
著者
風間 規男
出版者
同志社大学
雑誌
同志社政策科学研究 (ISSN:18808336)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.1-20, 2008-12

論説(Article)本稿は、政策の定義に考察を加えつつ、定義に適合した政策分析のアプローチを模索するものである。政策を参照コード(プログラム)と考え、その形成・実施過程を研究するアプローチを「ミクロレベルの政策分析」と名づけ、その可能性と限界について検討を加えた。次に、環境政策・福祉政策といった政策領域やその下位領域を政策ととらえて分析する「メゾレベルの政策分析」の可能性を探った。この分析アプローチを、プログラムの集合(政策レジーム)の観点から研究する立場と、ある政策問題をめぐる行為・相互作用が集積する場(政策空間)の観点から研究する立場に分けて、それぞれの困難性を指摘した。その上で、政策レジームと政策空間を橋渡しする役割を果たすアプローチとして、政策を関係が概念でとらえる必要性を主張し、政策ネットワーク論の有効性を論じた。
著者
松本 茂章
出版者
同志社大学
雑誌
同志社政策科学研究 (ISSN:18808336)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.203-218, 2005-12

研究(Note)80 年代から90 年代初めにかけて、全国の自治体は競うように文化会館や文化ホールを建設した。政府による内需拡大の要求やバブル経済にともなう好景気などを背景に、「ハコモノ行政」が展開された。しかし、これらの施設は、海外や東京でつくられた芸術文化を紹介することにとどまりがちで、地域の芸術文化を創造し広めるという役割は、きわめて弱かった。東京の芸術文化を「上意下達」のスタイルで地域に伝えていく配給的機能は果たしたものの、地域文化育成にどれほど役立ったのかという疑問は、すでに多くの先行研究が指摘してきたところである。 上記の反省に加えて、依然として続く東京の経済文化両面の一極集中に対する強い危機感から、いくつかの自治体は近年、創造型の文化施設を設ける試みを始めた。地域アイデンティティの形成、回復を目指すことにより地域活性化を図る動きである。そのひとつの事例である京都芸術センターに注目してみた。 京都芸術センターは、京都市が2004 年4月に中京区内に開設した文化施設である。地方自治法上の「公の施設」ながら、特色ある運営システムを採用しているところが興味深い。その活動ぶりや運営実態を詳述することで、21 世紀の自治体文化政策を考える一助になると考えた。 本稿では、まず筆者の問題意識を明確にしたうえで、次に京都芸術センターの5年にわたる活動状況を振り返り、運営システムを解明していく。最後に、課題を整理して総括し、新時代の自治体文化政策のありようを浮かび上がらせる。
著者
松野 光範 横山 勝彦
出版者
同志社大学
雑誌
同志社政策科学研究 (ISSN:18808336)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.49-62, 2011-03

論説(Article)2009年の本誌に、「昭和新山国際雪合戦大会」が、その実施の過程を通じて、まちづくりの中枢を担う人々の育成に寄与していること、およびその過程が、ソーシャル・キャピタル(社会関係資本)形成への寄与と、ソーシャル・イノベーションへのレディネスの強化につながっていることを報告した。今回は、コミュニティ・ガバナンスが、実際のまちづくりにどのように活かされているかの視点に立ち、2010年4月末に有珠郡壮瞥町を訪問し、ヒアリング調査を実施し、2009年12月に発表された「第4次壮瞥町まちづくり総合計画」を概観し、ソーシャル・キャピタルの形成につながるまちづくりとスポーツの関係性について検討を行った。そこで得られた知見は次の2点である。1点は、分析にあたっては、雪合戦大会実行委員会のリーダー層のみに注目するのではなく、これを支える多くの人たちについての検討が必要なことである。2点目は、健康政策においては、運動・栄養・休養という健康の3要素が政策として必ずしも統合されていないことである。これらについては、まちづくりとスポーツの関係性を検討する観点に包含して、研究を継続していきたい。2009, We reported that"Showa Shin-zan international Yukigassen" was the process to connect for reinforcement of the readiness to contribution to the social capital and the social innovation through a process of the enforcement. The end of April, 2010, We visited Sobetsuchou for a second time. We examined about community governance and "the 4th Total Town Planning in Sobetsu" in December, 2009 and the relationship of the making of Town Planning and sports to be connected for the formation of the social capital. Therefore the provided knowledge is two points of the next. One point does not pay attention to only the class of leaders of the Yukigassen executive committee in analysis, and examination about many people supporting this is that it is necessary. The second point is that 3 elements of the health called exercise / nourishment / the rest are not always unified as the healthy policy.