- 著者
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大野 庸子
- 出版者
- 名古屋女子大学
- 雑誌
- 名古屋女子大学紀要 (ISSN:02867397)
- 巻号頁・発行日
- vol.19, pp.147-153, 1973-03-15
名古屋市内の民間建設による,持家1戸建の鉄骨系プレハブ住宅について,実態調査を行ない居住性について分析を試み次の結果を得た.1)居住者は30才〜40才代の4人家族の勤労者世帯が多く,取得の時期はS40年以降に集中し,完工までに約5ケ月を要した.2)住宅規模に関しては,1住宅当りの平均敷地面積206.6m^2,延べ床面積73.9m^2,1人当りの平均畳数7畳,室数1.1室となる.延べ面積,畳数,室数共に家族人数が増加するにつれ,これらも増加するが1人当りに換算すると,逆に減少する.このことは家族人数が少ない程,住生活空間に余裕があることを示す.又,延べ面積の増加分は,居室空間と共有空間にそれぞれ,2/3と1/3の割合で配分されていることがわかる.3)台所はDKタイプの6畳が圧倒的頻度を示し,このことから食寝空間の分離が,大多数の家庭で実現していることが,うかがえる.4)便所は水洗式で腰掛式便器が1/4あり,使い悪さの点では和風より優位に立つ.5)押入は各室にほぼ一個所あり,物置も3〜4畳のものを過半数が設置している.ペンキ塗替えが良好な状態のもの約6割.6)室内環境では,暑さに対する不満が最も多く,次に音響があってうるさいことを上げているが,反面乾燥していでよい等の声もある.7)居住者のプレハブ住宅への志向性はまだ低い.終りにあたって,調査に御協力いただいた学生諸姉に深く感謝致します.