- 著者
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渡邉 勉
- 出版者
- 数理社会学会
- 雑誌
- 理論と方法 (ISSN:09131442)
- 巻号頁・発行日
- vol.19, no.2, pp.213-234, 2004-09-30
本稿では、職歴データの分析を通じて、近年系列データの分析手法として注目されつつある最適マッチング分析の有効性と問題点を検討する。職歴パターンについては、これまで原(1979)、盛山(1988) などによって検討されてきた。ただ職歴データの分析はあまり進んでいるとはいえない。本稿では、1995年社会階層と社会移動に関する全国調査(SSM調査)の職歴データを最適マッチング分析により検討する。まず入職から10年間、および30年間の職歴データについて、最適マッチング分析によって距離行列を求め、さらにクラスター分析によって、それぞれ6つのクラスターを析出した。また初職、現職、学歴、職歴パターンの関係を明らかにするために、ブール代数分析をおこなった。以上の分析から、既存の類型化とは異なり、職歴の包括的な類型化が可能であることを示し、従来の分析方法では十分にできなかった職歴の新たな分析の可能性があることを示した。