著者
佐藤 陽治 梅林 薫
出版者
学習院大学
雑誌
学習院大学計算機センター年報 (ISSN:09134514)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.28-63, 2003

現在のテニス競技においては、ラリーの高速化に伴い、選手のムーブメント能力は高度化を余儀なくされている。本研究では、テニスのみならず多くのスポーツで共通に必要な敏捷性、俊発性の種目特性の検証と、その妥当な測定方法の開発、現在脚光を浴びつつあるスピード(Speed)、巧緻性(AgHity)及び敏捷性(Quickness>(以下SAQと表記する)の反応動作改善への効果を検証することを目的とした。 日本のテニス選手のSAQにおける体力的実態を把握し、 AIS(Australian Institute ofSports)が年齢別に指定している強化選手に実施している、テニス競技における各種SAQテストの結果と比較すること、及び各被験者にSAQ能力向上のためのトレーニングを定期に実施してSAQ能力の向上が縦断的に認あられるかの検証をするたあに、体育大学テニス部男女各10名、一般大学女子テニス選手14名、名古屋地区のジュニア・テニス選手男子15名、女子4名に「Acceleration forward agility test (Right side / Left side)」、 「Acceleration backward」、on sideways(Right side/Left side)」、 「505Agility Test」の各種SAQ Testを適宜付加して実施した。 また基礎的研究として、一般大学体育授業受講生80名に3パターンの「Box step test」を測定したものコントロール群とし、週1回の授業で、縄跳び、及び4方向シャッフルパターンの「Box step test」を3ヶ月間実施した後の3種のパターンのrbox step」の変化を観測した。結果は、以下の通りである。一般学生を対象としたボックス・ステップ・テストでは、トレーニング種目とした一周ステップ(round steps)は有意な増加を示した。また、他の2種のステップパターンも、有意な増加を示した。ジュニアを対象としたrAcceleration sideways(forehand/backhand)」の結果は、男子では、フォアハンド2,43s(n:23、 s. d.:0.102、 range:2.18-2.72)、バックハンド2.50 s (n:23、s。d.:0.177、 range:2.20-2.84)、女子はフォアハンド2.71 s(n:5、 s. d.:0.115、 range:2.64-2.91)、バックハンド2.75s(n:5、 s. d.:0.215、 range:2.47-2.96)であり、オーストラリアの同年代のジュニアと比較して男子は有意差がなく、女子はやや劣るという傾向であった。 大学テニス選手は、オーストラリアのトップの選手に比べ、男女ともにやや劣る傾向があったが、SAQ向上の各種トレーニングを実施して縦断的に観察すると有意に向上する傾向が確認された。 SAQ能力に関しては、一般女子より男子が有意に上回ること、また、テニス競技能力に比してSAQ能力が優れている傾向があること、またSAQ向上のための各種トレーニングを付加することによりSAQ能力は改善されることが確認された。

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