- 著者
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Thornton Martin
- 出版者
- 上智大学
- 雑誌
- アメリカ・カナダ研究 (ISSN:09148035)
- 巻号頁・発行日
- vol.16, pp.1-20, 1999-03-31
1946年3月5日、ウィンストン・チャーチル首相が行ったミズーリ州での演説は、その後の冷戦時代の幕開けを決定付けた重要な起点と理解されてきた。にもかかわらず、この演説のいくつかの側面や直接的影響について、歴史家がこれまで取り上げなかったものがある。歴史家が注目したかったテーマであるが、本稿では、当時の駐米カナダ大使、レスター・B・ピアソンに着目し、同大使がチャーチルのミズーリ演説に与えた影響について検討する。英連邦各地の新聞に見られるミズーリ演説に対する反応や、その反応に対するカナダの見解などは、チャーチルの演説の影響を分析する有益な手ががりとなる。ピアソン自身もチャーチルの演説に対する興味ある見解を展開している。