- 著者
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岩井 浩
- 出版者
- 関西大学
- 雑誌
- 關西大學經済論集 (ISSN:04497554)
- 巻号頁・発行日
- vol.52, no.4, pp.15-54, 2003-03
失業・雇用統計は、国際的に、主に2つの統計系列一世帯を調査対象にする労働力調査と失業救済の行政記録による請求者登録からなっているが、各国において、その源泉と作成方法に相違があり、直接にそれらを比較することができない。雇用・失業統計の国際基準は、ILO統計局で定められている労働力調査方式であるが、失業統計と公表失業率の事実反映性をめぐって、国際的論議が展開されており、その方式の意義と限界が問題とされ、失業の単一指標である公表失業率を補足・代替する指標として、不完全就業指標と失業の代替指標の概念規定が国際的に論議されている。 本稿では、歴史的に失業統計(請求者登録)の先駆をなし、失業統計の意義と限界の批判、隠された失業と本当の失業の推計、失業の代替指標の開発について論議が積み重ねられているイギリスの事例をとりあげ、批判統計学の視点から、若干の考察をおこない、残された研究課題を明にする。