著者
北原 聡
出版者
関西大学
雑誌
關西大學經済論集 (ISSN:04497554)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.399-420, 2005-12-05

近代日本の道路は物資や旅客の輸送など民生目的のほか軍事的にも利用された。陸軍は道路の使用および道路状況の改善に強い関心を寄せており、道路整備の主体であった府県や市町村に対して道路を整備するよう働きかけ、いっぽう、多数の兵士や重量のある兵器が通過する陸軍の道路使用は各地で道路の被損を引き起こし、府県や市町村は道路修繕を余儀なくされた。道路行政を管掌する内務省は、1919年に制定された道路法に陸軍の道路使用に伴う地方の負担を軽減する条項を盛り込み、それは一定の効果をあげたものの、こうした状況の根本的な改善にはつながらなかった。
著者
春日 淳一
出版者
関西大学
雑誌
關西大學經済論集 (ISSN:04497554)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.445-455, 2005-12-05

自分がどう出るかは相手の出方次第であり、相手から見ても同様であるとき、ダブル・コンティンジェントな状況にあるといわれる。コンティンジェンシー(不確定性)は事態をむずかしくする厄介者のようであり、除去すべきものと考えられがちである。パーソンズもその方向でダブル・コンティンジェンシーの問題をとらえた結果、満足な解決に至らず終わった。一方ルーマンは、ダブル・コンティンジェンシーがあるからこそ相互行為や社会システムが生まれるのだと見る。この魅力的な発想転換を、彼のいう「コンティンジェンシー概念の拡張」を手がかりにして読み解き、筆者なりにくだいて説明するのが本稿の主旨である。コンティンジェントなものは、必然的でもなければ、不可能でもないものである。その「不可能でない」に賭ける人間がいるかぎり、社会システムは生成するのである。
著者
植村 邦彦
出版者
関西大学
雑誌
關西大學經済論集 (ISSN:04497554)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.337-354, 2004-11-11

ルイ・アルチュセール(1918-1990)は、1960年代に「重層的決定」や「構造的因果性」という概念をマルクス主義に導入することによって、ヘーゲル主義的マルクス主義や実存主義的マルクス主義を批判し、マルクス主義内部での「認識論的切断」を理論化しようとした思想家であり、フランスだけでなく世界的に大きな影響を与えた。しかし、この試みは、思想的言説空間では「構造主義」や「ポスト構造主義」へと向かうマルクス離れに棹さし、アルチュセール自身も、晩年には「偶然性」や「出会い」の理論化を模索しつつ、マルクス主義への批判を表明するにいたった。本稿は、このようなアルチュセールの理論的模索の全体像を明らかにし、その意味を確認しようとするものである。
著者
中澤 信彦
出版者
関西大学
雑誌
關西大學經済論集 (ISSN:04497554)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.77-86, 2006-06-15

19世紀ブリテン思想史研究のマスターピースである『かの高貴なる政治の科学』の内容を約説し、本書のバーク研究およびマルサス研究における今日的意義を概括する。
著者
春日 淳一
出版者
関西大学
雑誌
關西大學經済論集 (ISSN:04497554)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.1-12, 2006-06-15

ルーマン理論はその独特の「難解さ」ゆえに敬遠されがちであるが、少し時間をかけて取り組めば、限りないポテンシャルを秘めた理論であることが分かる。本稿では、比較的読みやすいルーマンの初期の著作『手続を通しての正統化』を主要素材としてこの点を示唆するとともに、彼の理論の魅力について少々述べてみた。独立峰ルーマン岳に登るには、複雑化した概念装置が障壁となって立ちはだかる後期著作側からではなく、初期著作側それも良い邦訳のある初期著作側からはいるのが推奨ルートといえよう。
著者
北原 聡
出版者
関西大学
雑誌
關西大學經済論集 (ISSN:04497554)
巻号頁・発行日
vol.57, no.4, pp.269-289, 2008-03

明治以降の電信電話の発展において道路の利用は不可欠の重要性を有しており、電信と電話の道路占用には1890年に制定された電信線電話線建設条例によって法的保護が与えられ、逓信省は道路へ自由に電柱を建設することができた。しかし、それは道路行政を管掌する内務省の道路監督権限の侵害にあたり、道路交通の障害となる電柱も多かったため、内務省は1919年に成立した道路法で電信電話の道路占用に関する優遇措置を撤廃し、1936年および42年の内務逓信両省協定によって電信線電話線建設条例の問題点を全面的に解消した。
著者
北原 聡
出版者
関西大学
雑誌
關西大學經済論集 (ISSN:04497554)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.71-86, 2008-09

戦間期の日本では、外資系自動車会社である日本フォード、日本GMによる自動車製造および全国的道路改良による道路状況の改善を背景に、貨物自動車の利用が大都市圏から地方へと拡大した。迅速かつ機動的な戸口から戸口への輸送という鉄道輸送には無い特徴をもつ貨物自動車は、輸送時間と輸送費の点で鉄道より優れていたことから、鮮度の維持が欠かせない生鮮食料品の輸送などに活用され、鉄道の補助輸送のほか鉄道と並行する輸送にも進出して、短距離輸送を中心に国有鉄道と自動車の競合が発生した。貨物自動車輸送業は車両1台を所有する小規模経営が一般的で、荷主の指示により随時随所で輸送を行う貸切営業が大宗をしめ、貨物自動車の急増に伴う競争の中で、輸送業者は種々の営業努力を行いつつ経営を成り立たせていた。
著者
植村 邦彦
出版者
関西大学経済学会
雑誌
関西大学経済論集 (ISSN:04497554)
巻号頁・発行日
vol.59, no.4, pp.17-33, 2010-03

英語の〈civil society〉は、16世紀末から使われ始めた言葉である。日本語では通常「市民社会」と訳されているが、この言葉は本来アリストテレス『政治学』における「国家共同体」の訳語として英語に導入されたものであり、17世紀のホッブズとロックにいたるまで、この意味で使われた。この言葉の前史と初出時の語義を確認することが、本稿の課題である。
著者
植村 邦彦
出版者
関西大学経済学会
雑誌
関西大学経済論集 (ISSN:04497554)
巻号頁・発行日
vol.47, no.5, pp.481-510, 1997-12

マルクスの数多い著作の中でも、1852年に書かれた『ルイ・ボナパルトのブリュメール18日』ほど、これまでに様々な読まれ方をしてきたテクストはないだろう。たとえばエドワード・サイードは、文学批評の方法を論じたエッセイの中で小説と「情況的現実」との関係を論じながら、やや唐突に次のように述べている。「しかしながら、いかなる小説家も、『ルイ・ボナパルトのブリュメール18日』を書いたときのマルクスほどに現実的情況について明確な態度を取ることはできないだろう。私から見れば、現実的情況が甥[ルイ・ボナパルト]を革新者としてではなくて、偉大な叔父[ナポレオン]の笑劇的な反復者として仕立て上げたことを示すときの筆法の正確さがこれほどに才気あふれ、これほどに圧倒的な力をもって迫ってくる著作はない(1)」。サイードが強調する第一点は、「マルクスの方法にとって言語や表象は決定的な重要性を持って」おり、「マルクスがあらゆる言語上の工夫を活用していることが『ブリュメール18日』を知的文献のパラダイムたらしめ(2)」ているということであり、第二は、ナポレオン伝説によって育まれた「実にひどい過ち」を修正するために、「書き換えられた歴史は再び書き換えることが可能であることを示」そうとするマルクスの「批評的意識(3)」である。こうして、マルクスにおけるレトリックという問題が設定される。あるいは、「オウムと世界最終戦争」という副題をもつ著書『虚構の時代の果て』の「あとがき」で、大澤真幸はこう述べている。「民主主義体制の下で極端な独裁が国民の広範な支持を獲得できたのはなぜか。マルクスは、この人物、ルイ・ボナパルト(ナポレオン三世)のク・デタが人民投票で承認された直後に、彼が政権を獲得するまでの過程を社会学的に考察する『ルイ・ボナパルトのブリュメール18日』を著している。今日でもなお、マルクスのこの議論は、ボナパルトが成功しえた理由についての、最も説得力ある分析であろう。ちょうどこのマルクスの分析のような、私たちが内属している『オウム』という文脈に対する透徹した考察が必要である(4)」。ここでは、マルクスのこの書は、「考察する者自身が内属している<現在>」に関する「社会学的考察」の模範例とみなされている。このような『ブリュメール18日』の読み方は、言うまでもなく、「マルクス主義」の側からの正統的な読み方とはかなり異なる。マルクスの死後まもない1885年に、エンゲルスはこの書の第三版に付した序文で、次のような位置づけを試みているからである。「マルクスこそ、歴史の運動の大法則をはじめて発見した人であった。この法則によれば、すべて歴史上の闘争は、政治、宗教、哲学、その他どんなイデオロギー的分野でおこなわれようと、実際には、社会諸階級の闘争の――あるいはかなりに明白な、あるいはそれほど明白でない――表現にすぎない。そして、これらの階級の存在、したがってまた彼らのあいだの衝突は、それ自体、彼らの経済状態の発展程度によって、彼らの生産、およびこの生産に条件づけられる交換の仕方によって、条件づけられているのである。……マルクスは、ここでこの[フランス第二共和制の]歴史によって自分の法則を試験したのであって、彼はこの試験に輝かしい成績で合格した、と言わざるをえないのである(5)」。この見方によれば、『ブリュメール18日』は「唯物論的歴史観の定式」の一つの例示だということになる。本稿の課題は、『ルイ・ボナパルトのブリュメール18日』に関する最近の注目すべきいくつかの「読み方」の批判的検討を通して、マルクスの思想の展開の中に占める『ブリュメール18日』の位置づけを明らかにすることにある。マルクスにおける歴史認識の方法、それがテーマとなる。
著者
森岡 孝二
出版者
関西大学
雑誌
關西大學經済論集 (ISSN:04497554)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.521-544, 2004-11-11

1980年代以降、19世紀後半から1世紀余り続いた労働時間の短縮の時代が終わり、世界的に労働時間の増加が生じている。アメリカではJ.B.ショアが『働きすぎのアメリカ人』(1991年)において包括的な統計分析を踏まえて、働きすぎの時代が到来したことをいち早く明らかにした。その後、ショアの提起は経済学や社会学における労働時間論議に火をつけ、労働統計や生活時間研究の専門家を巻き込んだ論争を引き起こした。本稿では、ショアの問題提起に始まるアメリカにおける労働時間論争を跡づけ、日本との対比に留意して、アメリカ人の働きすぎの実態とその主要な原因について検討する。その作業からアメリカにおける労働時間の増大は、長時間労働者と短時間労働者への二極分化、女性における職場と家庭のタイム・デバイド、働きすぎと浪費の悪循環などの特徴をもっていることが浮かび上がるだろう。
著者
野坂 博南 NOSAKA Hiromi
出版者
関西大学経済学会
雑誌
関西大学経済論集 (ISSN:04497554)
巻号頁・発行日
vol.60, no.4, pp.129-149, 2011-03

本稿では、日本の生産性低迷に伴い、雇用形態別の労働市場がどのように変化し、日本の景気循環にどのような影響を与えたかを一般均衡サーチモデルの枠組みで分析した。カリブレーションの結果、長期的な生産性低下は相対的に解雇費用の低い非正規雇用の増加をもたらすものの、非正規雇用の労働市場の求人倍率は正規雇用に比べて悪化することを示した。また、長期的な生産性低下に伴い景気の変動幅が増幅されることを確認したが、特に非正規雇用の雇用や失業の変動幅が大きくなることが分かった。また、正規雇用と非正規雇用の補完度の上昇は全体の景気変動に大きな影響は与えないが、相対的に変動の大きい非正規雇用の変動を安定化させる効果があることを示した。
著者
中澤 信彦
出版者
關西大学經済學會
雑誌
關西大學經済論集 (ISSN:04497554)
巻号頁・発行日
vol.64, no.3-4, pp.249-271, 2015-03-10

本稿の課題は、ハイエクがバークをどのように読んだのか、その読解の詳細を追跡することによって、ハイエクの保守主義観の特質と意義を明確化することにある。ハイエクが残したバークへの言及は分量的に決して少なくないが、断片的なものばかりである。そこで本稿では、ハイエクがバークの膨大なテクスト群のうちの何を参照したのかにとりわけ着目しつつ、ハイエクの主要著作におけるバークへの言及の有様を時系列的に整理する。本稿の構成は以下の通りである。第1節では論文「真の個人主義と偽りの個人主義」におけるバークへの言及を検討する。第2節では壮年期の主著『自由の条件』を検討し、第3節では『自由の条件』の補論「なぜ私は保守主義者ではないのか」を検討する。第4節では『自由の条件』と並ぶ後年の主著『法と立法と自由』を検討する。最後にこれまでの議論を整理し、「つまるところ、ハイエクはバークをどのように読んだのか?」という問いに、できるだけ明快な答えを与えたい。
著者
橋本 恭之 呉 善充
出版者
関西大学
雑誌
關西大學經済論集 (ISSN:04497554)
巻号頁・発行日
vol.55, no.4, pp.499-513, 2006-03-10

本稿では、子育て支援税制として政府税調で議論ざれている扶養控除の税額控除化の意義とその実現可能性を検証することにした。5万円ないし10万円の扶養税額控除への移行は、所得階級別には高所得層への増税、低所得層への減税効果を持つ。年齢階級別には5万円の扶養税額控除のケースでは、45歳から60歳の年齢層以外の年齢層で税負担軽減につながる。10万円の扶養税額控除のケースではすべての年齢層において税負担軽減につながる。世代別の税負担の計測では、大卒の場合では1960年生まれも1980年生まれも5万円の扶養税額控除化では増税となるが、10万円の扶養税額控除化ではわずかながら減税となる。高卒の場合では1960年生まれも1980年生まれも、5万円の扶養税額控除化では増税となるが、10万円の扶養税額控除化では減税となる。マクロ的には減税となる10万円の扶養税額控除新設のケースですら、子育てに直面する家計への税負担軽減効果はそれほど大きくない。扶養控除の全面的な税額控除化は、子育て支援策としてはあまり期待できないであろう。
著者
加勢田 博
出版者
関西大学
雑誌
關西大學經済論集 (ISSN:04497554)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.17-31, 2002-06

19世紀のアメリカにおける交通・輸送の発展は、世紀前半においては、河川や運河の航行改良によって、また世紀後半には鉄道によって、工業成長に伴う著しい輸送需要の増大に対応することができた。本論文では、河川輸送が鉄道時代の到来とともにその役割をどのように変化させていったのかを概観する。
著者
橋本 恭之 木村 真
出版者
関西大学経済学会
雑誌
関西大学経済論集 = Economic review of Kansai University (ISSN:04497554)
巻号頁・発行日
vol.64, no.3, pp.303-321, 2015-03

本稿の目的は、夕張市における公営事業と国保事業の現状と課題をあきらかにすることである。本稿で得られた結果は、以下のようにまとめることができる。第1に、財政破綻後の観光施設の運営方法として採用された指定管理者制度は、さまざまな課題を抱えていることがあきらかになった。指定管理者制度のもとで観光施設の延命を図るよりも、民間への売却ないし無償譲渡を優先して考えていくべきだろう。第2に、夕張市の病院会計の赤字は、診療所に縮小することで解消が図られてた。しかし、老朽化に伴い移設計画が検討されているものの、市の人口中心地への移設はへき地医療の指定がはずれてしまうなどの課題を抱えている。第3に、夕張市の国保事業会計は、赤字が解消されている。ただし、2010年度以降、赤字解消により保険料が引き下げられ、受診率と 1人あたり医療費も上昇傾向にあることから今後注意が必要である。第4に、夕張市の下水道事業は、一般会計からの繰り出し不足、利用者の伸び悩みなどにより多額の累積赤字を抱えるに至った。地方都市においては、インフラ整備の優先順位を考える必要があることがわかった。
著者
高木 秀玄
出版者
関西大学経済学会
雑誌
関西大学経済論集 (ISSN:04497554)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.1-17, 1969-04
著者
北原 聡
出版者
関西大学
雑誌
關西大學經済論集 (ISSN:04497554)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.83-100, 2001-09

1919年に公布された道路法は我国初の体系的道路法規で、道路改良による自動車交通の促進を重要な目的としていた。自動車の通行と密接に関係する道路の構造は、道路法に付随した道路構造令で規格が定められ、幹線道路を構成する国道・府県道については、自動車2車線交通に必要な幅員が確保された。構造令に基づく国道・府県道の改良は、概ね構造令の幅員規格に則って実施され、戦間期に都市から地方へと広がり、鉄道輸送と競合した貨物自動車輸送の発展に、こうした改良が貢献した。
著者
西 重信
出版者
関西大学経済学会
雑誌
関西大学経済論集 (ISSN:04497554)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.55-74, 2011-06

2005年以降、中国が主導する大図們江地域開発は着実に進んでおり、東北振興と北朝鮮開発を一体化して推進する中国の北東アジア開発戦略が具体化し始めている。北朝鮮は、東北三省での中国との経済協力を軸として、ロシア、モンゴル、韓国との直接、間接の連携によって経済の開放と自由化を進めている。大国の中央政府主導による広域、多国経済開発の最も重要な課題は、開発地域内の諸国、地域住民とりわけ辺境の少数民族の主体的積極性を引き出すことである。この視点は中国の辺境開放政策の意図とも基本的に合致している。大図們江地域の要である図們江地域は、国境に抗して持続している自然経済圏である。延辺朝鮮族と北朝鮮北東部の住民は、互いの困難、危機を自然経済圏を手段として生き抜いてきた。図們江地域の開発には、この自然的一体性に根差した考え方が最も大切である。開発の展望は、1930年代に日本で体系化された北朝鮮ルート論の主体的活用にかかっている。北朝鮮の先峰、羅津、清津の三港と中国東北の鉄道を結び付けた中継貿易輸送は、内陸の吉林省、黒龍江省だけでなくモンゴルをも日本に直結する。朝鮮族人口が急速に減少している延辺の民族経済の振興には、跨境民族の特性と中継貿易を活用した朝鮮族の地元での起業が何よりも必要である。そこでは十数万人とされる在外朝鮮族の主体的積極性に大いに期待できる。図們江地域を中心とした大図們江地域の経済、社会の発展に必ず貢献できるだろう。
著者
中屋 宏隆 河﨑 信樹 河﨑 信樹 KAWASAKI Nobuki
出版者
関西大学経済学会
雑誌
関西大学経済論集 = Economic review of Kansai University (ISSN:04497554)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.197-215, 2014-09

ドイツは、2011年に脱原発を再び宣言した。日本では、その政策実現に向けた動向が注目されている。また、多くの研究文献でも、ドイツの脱原発の動きは検討されており、本稿では、そうした研究史の吸収に加え、これまであまり検討されて来なかったドイツの原子力発電のエネルギー政策上の意義を考察するための研究材料を整理することを目的としている。その結果、ドイツはかつて十分に原発大国と言える状況に陥っていたという事実とドイツのエネルギー政策の中での原子力発電の役割を再検討する必要性が明らかになった。
著者
春日 淳一
出版者
関西大学経済学会
雑誌
関西大学経済論集 (ISSN:04497554)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.103-114, 2000-12

市場経済においては,貨幣を支払えば原則としていつでも誰でも望む商品を手にすることができる(コミュニケーション・メディアとしての貨幣の一般化)。しかし,いったん購入した商品を返品し支払った貨幣を取り戻すことは通常できない。貨幣支払いのこの不可逆性はそれ自体なんら目新しい事実ではないが,本稿では(1)貨幣支払いとその不可逆性を社会システム論の文脈でとらえたうえで, (2)物理学的なイメージをも借りて,支払いの不可逆性が経済システムにおける時間の一方向性と結びついていることを示し,最後に(3)不可逆性の文明論的帰結を述べる。出発点となるのは,ルーマンが経済システムの基本的出来事(システム要素としてのコミュニケーション)とみなした支払い/非支払いという対概念である。ルーマンは支払いと非支払いの対称性を強調するが,両者には意思決定を伴うか否かをめぐって「対称性の破れ」 が見られる。筆者は出来事/反出来事という対概念を用いて非支払いを2種に区別したのち,支払いと同時に生じる反出来事としての非支払いに着目し,それが支払いの不可逆性発生の「現場」となる様子を明らかにする。