著者
山本 真弓
出版者
川崎医科大学
雑誌
川崎医学会誌 (ISSN:03865924)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.59-70, 2003

同一術者,同一術式によって初回口唇裂手術を施行した片側性完全口唇顎口蓋裂患者の顎・顔面形態を,三次元計測装置を用いて計測し,術前の顎・顔面形態の特徴ならびに術後の経時的変化を分析し,次の結果を得た.1.初回手術前にHotz口蓋床を装着することで,顎前方部の各傾斜角度,特にSmaller segmentの傾向角度及びSmaller segmentとLarger segmentの差の移動が大きく,術前のHotz口蓋床装着の有用性が示唆された.2.初回口唇裂術後,顎裂前後差・前歯部傾斜角度・Smaller segmentの傾斜角度およびSmaller segmentとLarger segmentの差・歯槽基底部最大幅径の移動が大きく,手術およびHotz口蓋床装着等のなんらかの外力が特にこの部位に加わっていると示唆された.3.術前術後の顔面形態は,顎前方部の形態に影響しており,特に顎裂幅・前歯部傾斜角皮・Smaller segmentの傾斜角度・Larger segmentの傾斜角度及びその差・歯槽基底部最大幅径の矯正は術前までに十分行う必要性があると考えられた.4.術後の鼻腔底の長さが非対称性になる原因の一つに,患側キューピット弓頂点の患側鼻翼基部からの距離が影響していると考えられた.5.術後の患側鼻翼基部下垂を防ぐために,基部の固定位置を健側よりも若干高めに矯正する必要があると考えられた.

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