- 著者
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永井 一哉
平松 高明
逸見 尚
- 出版者
- 日本応用動物昆虫学会
- 雑誌
- 日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
- 巻号頁・発行日
- vol.32, no.4, pp.300-304, 1988-11-25
- 被引用文献数
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ミナミキイロアザミウマの天敵としての<i>Orius sp.</i>の有効性を明らかにするため,ミナミキイロアザミウマが発生するポット栽培のナスに<i>Orius sp.</i>を放飼し生息密度に及ぼす影響を調査した。<br>1) ミナミキイロアザミウマのみ発生がみられるナスにMPP乳剤を散布した場合,ミナミキイロアザミウマの生息密度は'無散布区と比較してやや抑制された。しかし,<i>Orius sp.</i>とミナミキイロアザミウマを放飼したナスにMPP乳剤を散布し,<i>Orius sp.</i>の生息密度を低下させると,無散布区に比較してミナミキイロアザミウマの生息密度はきわめて高まった。<br>2) ミナミキイロアザミウマが葉当り約60匹発生する本葉7.5葉展開したナスの育苗ポットにケージを被せ,そのなかに<i>Orius sp.</i>の成虫1匹と老齢幼虫5匹を放飼すると,ミナミキイロアザミウマの生息密度は放飼6日後から低下し始め,13日後には無放飼の60分の1に当たる葉当り0.3匹まで減少した。<br>3) 以上の結果,<i>Orius sp.</i>は,ミナミキイロアザミウマの生息密度を低下させることができる有力な天敵のひとつであると判断された。